朝青龍 角界“冬の時代”支える

[ 2010年2月5日 18:38 ]

 暴行問題の責任を取る形で大相撲の横綱朝青龍が4日、電撃引退した。前人未到の7連覇など数々の栄光の一方、前代未聞の騒動を起こし続けた。そんな存在が残した功罪に着目した。

 今回の暴行問題だけではない。優勝直後の土俵上での派手なガッツポーズなど、朝青龍は土俵内外の騒動ばかりがクローズアップされてきた。しかし、本業の相撲そのものが魅力にあふれていたのも確かだ。

 幕内の決まり手担当を20年以上も務める大山親方(元幕内大飛)は、朝青龍の相撲を「瞬発力がすごく、ぎりぎりまで技をかける。展開が読めず、こちらも息が抜けなかった。お客さんはお茶を飲む暇もなかったのではないか」と評する。

 同親方は、朝青龍が新大関だった2002年秋場所の貴ノ浪戦での「伝え反り」を絶賛。詰まった土俵際で相手の脇の下をくぐり抜け、体を後ろに反らせて倒した。十両以上では初の決まり手に「決まり手担当をやっていて良かったなと思った。ああいう力士は今までいなかった」と話す。

 03年初場所を最後に引退した横綱貴乃花と入れ替わるように、同場所後に頂点に立つ。一人横綱は史上最長の21場所で、相撲人気低迷がささやかれた“冬の時代”を支えた。スリル満点の相撲に加え、闘志を前面に押し出すスタイルは高い人気を誇った。同じモンゴル出身の鶴竜を弟子に持つ井筒親方(元関脇逆鉾)は「お客さんは、あの横綱を見に来ていたんだからなあ…」とため息をつく。

 25回目の優勝を果たした初場所では、13日目の琴欧洲戦で自身初のかいなひねりを披露。「いちかばちかでやった。業師だねえ」といたずらっぽく笑っていた。最後の最後まで「ゼニの取れる力士」だった。

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2010年2月5日のニュース