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湯元 双子の弟と獲った銅メダル

[ 2008年8月20日 06:00 ]

寄せ書きが書かれた日の丸を掲げる湯元

 【北京五輪 レスリング】男子60キロ級の湯元健一(23=日体大助手)も銅メダルを獲得した。

 ガッツポーズの先には、自らにレスリングを叩き込んでくれた父・鉄矢さんと、ともに戦ってきた双子の弟・進一がいた。初五輪で銅メダルを獲得した湯元は「メダルを獲れてよかった。金がいいけど、今の自分の実力ではよくやったと言いたい」と満面の笑み。マット上ではためかせた日の丸は、スタンドの弟から関係者を通じて兄に渡されたものだった。
 準決勝で「(隣のマットの)松永の試合を見てしまって」惜敗。3位決定戦は「自分が絶対に勝てる」と何度も言い聞かせて臨んだ。第1ピリオドはクリンチで辛勝したが、第2ピリオドは得意のタックルからアンクルホールド(足首固め)で加点し圧倒。「小学校時代からの得意技だけど、試合前に弟が“アンクルに行け”と言ってくれなかったら出なかった。最後まで“おまえは強い”と言ってくれた」と感謝した。
 インターハイ出場経験のある父・鉄矢さんの影響で、双子の弟・進一と競技を始めたのは、小3のとき。自宅の6畳間に敷いたマットの上で、毎日練習した。今大会はフリー55キロ級の弟と出場する夢は果たせなかったが、練習パートナーに指名。「マットに上がる直前までサポートしてくれた」弟は最大の理解者だ。この日のメダルは、2人で獲得したものだった。
 昨年の世界選手権は初戦敗退。「あの恥ずかしさから、成長できたと思う」と振り返った。格闘家の山本KIDの参戦、04年アテネ五輪銅メダルの井上謙二(自衛隊)、06年世界選手権3位の高塚紀行(日大コーチ)らとの激戦の代表争いを経て、つかんだ北京切符をメダルにつなげた。次の目標は12年ロンドン五輪に兄弟2人で出場し、金メダルを獲得すること。「通過点としては良かったと思う」と湯元は胸を張った。

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2008年8月20日のニュース