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【1984年8月】前略、道の上より/ストリートから誕生 一世を風靡した男7人

[ 2011年8月4日 06:00 ]

84年、渋谷で路上パフォーマンスをみせる一世風靡セピア。左奥には哀川翔、柳葉敏郎の顔も見える
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 ★84年8月ランキング★
1 十戒(1984)/中森明菜
2 ピンクのモーツァルト/松田聖子
3 桃色吐息/高橋真梨子
4 ふたりの愛ランド/石川優子とチャゲ
5 雨音はショパンの調べ/小林麻美
6 NEVER/MIE
7 ミス・ブランニュー・デイ/サザンオールスターズ
8 前略、道の上より/一世風靡セピア
9 SUMMER EYES/菊池桃子
10 迷宮のアンドローラ/小泉今日子
注目愛・おぼえていますいか/飯島真理
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【前略、道の上より/一世風靡セピア】

 東京・渋谷の公園通り。毎週日曜日になると1000人もの若者が集い、そこで繰り広げられる7人の男のストリート・パフォーマンスに釘付けになっていた。

 路上で音楽に合わせて、飛び跳ね、バック宙も見せ、歌も歌う。タブタブのズートスーツにズボンにはサスペンダー、先の尖ったヨーロピアン・シューズとコンバースを思い思いに履き、靴下は赤。リーゼントもいれば短髪もいる。時にニヒルに、時に怒りをにじませた表情でストリート立つ彼らの名前は「一世風靡セピア」。6月にリリースされた「前略、道の上より」が口コミで火が付き、テレビCM、歌番組出演を機に大ヒット。84年夏、7人は一躍「時の人」となった。

 仕掛け人は70年代後半、東京・原宿で人気を博した「竹の子族」の生みの親、大戸天童。50人近くいた男性によるパフォーマンス集団「劇男一世風靡」の中から、音楽志向の強い7人が自主的に派生する形で結成した。セピアと付けたのは、さまざまな個性が集まり、それが一つのパフォーマンス集団として融合した時、セピア色になっていくように、あらゆる個性を尊重するという意味でのネーミングだった。

 太鼓の響きに続いて、笛のリズムに乗って「そいやそいや」と祭りの雰囲気そのもののデビュー曲は、各ヒットチャートのベストテンにも顔を出し、レコード売り上げは40万枚を記録。顔が売れると同時に、メンバーの中でも人気者が出てきた。その後俳優としても売れっ子になり、現在に至るまで第一線で活躍している柳葉敏郎、哀川翔らの原点は路上パフォーマンスにあると言える。

 リーダーだった、現在俳優の小木茂光はグラフィックデザイナー、フジテレビ「欽ドン!良い子悪い子普通の子おまけの子」に柳葉とともに出演していた武野功雄はそば店経営、その他ロボット工学技師にパントマイムダンサーなど、本来なら別世界で生きる人間が、ストリートという場での表現を通して、名前どおり、一世を風靡した。

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