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【1981年8月】メモリー・グラス/水割りは飲まない堀江淳 ヒントはバーテン時代

[ 2011年8月17日 06:00 ]

 ★81年8月ランキング★
1 白いパラソル/松田聖子
2 ハイスクールララバイ/イモ欽トリオ
3 守ってあげたい/松任谷由実
4 メモリーグラス/堀江淳
5 長い夜/松山千春
6 羯徒毘路薫’狼琉/横浜銀蠅
7 もしもピアノが弾けたなら/西田敏行
8 まちぶせ/石川ひとみ
9 すみれ色の涙/岩崎宏美
10 ブルージーンズメモリー/近藤真彦
注目みちのくひとり旅/山本譲二
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【メモリー・グラス/堀江淳】

 果たして声の主は男か女か…。「水割りをくださーい」で始まる、堀江淳が歌う「メモリー・グラス」がラジオから、有線放送から流れるたびに聞き手は、そんなことを思いながら聞いた。女性が主語の曲を、中性的な声で歌い、レコード売り上げ70万枚のヒット。時の人になった堀江はテレビの歌番組に登場。「男だったんだ」と妙に納得した視聴者は多かった。

 実は水割りは飲まない。堀江自身は大の焼酎党。歌手を目指して北海道苫小牧市から札幌へ。そこでライブハウスのバーテンをしながら、時々ステージで歌っていたが、客の女性がよく水割りを注文していたので、それが頭にあって使ったフレーズだった。歩道で信号待ちをしている際に、メロディーとともに浮かんだ詞で、バーテン時代に女性と接する機会が多く、その会話などから歌詞のヒントを得た。

 CBSソニーのオーディションに「ペガサスの朝」をヒットさせた五十嵐浩晃とともに合格し、デビューのきっかけをつかんだ。4月に発売され、CMソングでもテレビ主題歌でもなかったが、北海道の有線放送から火がついた。それが遠く九州に飛び火し、大阪、名古屋と北上。東京で話題になり始めたのは夏場に入ってからだった。

 後に堀江は「メモリー…」のヒットで2000万円が手元に入ったと語っている。税金で800万円持っていかれ、中古車のフェアレディZを買い、引越しを2回するなどしたら、2年ほどでなくなったという。

 ヒット曲に恵まれず、「あの人は今」状態になり、「印税持って東南アジアに移住した」「音楽をやめて故郷の水道局で働いている」、果ては死亡説まで流れる始末。いずれもデマもいいところで、音楽を一から勉強し直し、中森明菜などさまざまなミュージシャンに楽曲を提供。自らもあの独特な声でライブ活動を続けている。

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