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【1982年8月】ラ・セゾン/友人アン・ルイスのために山口百恵 ひと肌脱ぐ

[ 2011年8月12日 06:00 ]

82年、コンサートで歌うアン・ルイス
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 ★82年8月ランキング★
1 小麦色のマーメイド/松田聖子
2 NINJIN娘/田原俊彦
3 待つわ/あみん
4 ハイティーン・ブギ/近藤真彦
5 ラ・セゾン/アン・ルイス
6 哀愁のカサブランカ/郷ひろみ
7 100%SOかもね…/シブがき隊
8 聖母たちのララバイ/岩崎宏美
9 北酒場/細川たかし
10 暗闇をぶっとばせ/嶋大輔
注目大きな恋の物語/よせなべトリオ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【ラ・セゾン/アン・ルイス】

 結婚、出産から1年半。アン・ルイスは歌手復帰のチャンスをうかがっていた。どうせまた歌うなら、話題になる曲をやりたい――。漠然とそう思っていた時にふと思い浮かんだのが、友人に歌詞を書いてもらうことだった。

 アンの理解者で実は親交が深かったのが、スーパースターだった山口百恵。あの伝説の日本武道館での引退コンサートから約2年。三浦百恵となって、芸能界とは縁を切った百恵ちゃんが友達とはいえ、願いを聞いてくれるかどうか、半信半疑だったが「再び頑張ろうとしているアンのために書く。ただしこれっきりよ」と快諾してくれた。

 百恵ちゃんと夫の俳優三浦友和の名前が入った、専用原稿用紙に書かれて届けられた歌詞。歌手時代に横須賀恵のペンネームで作品を発表していただけあって仕上がりは上々だった。

 タイトルの「ラ・セゾン」はフランス語で「季節」という意味だったが、さらに「発情期」という意味合いも含まれていた。引退後、フランス語を学んでいた百恵ちゃんはタイトルにちょっとセクシーな言葉を使うことをアンに告げ、アンも大賛成。ウソかホントか百恵ちゃんが飼っていたインコが発情期を迎え、それにヒントを得て書いたとアンは当時のインタビューで答えている。

 曲は以前から話のあったジュリーこと沢田研二が作曲。百恵とジュリーという70年代後半の日本の歌謡界を代表する2人による新曲は、リリースされる前から話題になった。取材は殺到するわ、テレビの歌番組からはお声がかかるわで、「女はそれを我慢できない」「グッバイ・マイ・ラブ」などスマッシュヒットはあったものの、いわゆるベストテンにランクインしたことがなかったアンは一躍売れっ子に。レコード売り上げは35万枚を記録。TBS「ザ・ベストテン」では最高3位を記録。「ロックの女王」として脚光を浴びることになった。

 「百恵ちゃんははっきり言っていた。復帰はないって。復帰するってことは彼女にとって格好の悪いこと。この先もないんじゃないの」とアン。友人のために歌詞を書いてから、30年近く。山口百恵が表舞台にたったことは一度もない。

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