藤井叡王「普段通り指せた」叡王戦先勝 前人未到8冠へ会心!タイトル戦11連勝

[ 2022年4月29日 05:30 ]

対局室検分での藤井叡王(右)と出口(日本将棋連盟提供)
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 将棋の第7期叡王戦5番勝負は28日、東京都千代田区の江戸総鎮守・神田明神で第1局を行い、先手・藤井聡太叡王(19)=王将、竜王、王位、棋聖含む5冠=が挑戦者・出口若武六段(27)を93手で下した。5冠防衛戦シリーズを好発進。タイトル戦は11連勝と破竹の勢いは止まらない。

 7冠ロード、いや前人未到の8冠ロードを快調に踏み出した。新年度初戦を危なげなく白星で飾った藤井はいつになく冗舌に一局を振り返った。

 「こちらが序盤から動いていけるかという将棋。中盤は手の組み合わせが難しく、本譜は少し自信のない展開になってしまいました」「その後はよく分からなかったんですが、(65手目に)7七香を打ったあたりからこちらの王が安全になり、指しやすかった」

 3月9日の順位戦B級1組最終局以来、中49日の真剣勝負。「やってみないと分からない」という手探り状態でも「始まってからは普段通り指すことができました」と、長すぎるオフ明けの心境を明かした。

 藤井らしい指し回しだった。序盤に出口から飛車を大展開する研究手をぶつけられると、19手目に23分27秒、21手目に18分36秒と、惜しげもなく考慮時間を投入。叡王戦の持ち時間は各4時間だが、60秒未満を切り捨てるストップウオッチ方式ではなく、秒単位で実測するチェスクロック方式。8タイトル戦の中では持ち時間が実質的に最も短い戦いだ。にもかかわらず、37手目では58分42秒を消費。手持ちの4分の1もの時間をこの一手に投入するさまは、まさに藤井流だ。

 もっとも、自身は苦笑いしながら「久しぶりの対局で、途中は時間を(多めに)使ってしまった。第2局はそのあたりを修正して戦いたい」と反省の弁。タイトル戦自体も2月12日の第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局以来。「勘」を取り戻す難しさも感じただろう。

 何をやっても大記録につながる藤井のパフォーマンス。この日の勝利で、タイトル戦では昨年8月24、25日に行われた第62期王位戦7番勝負第5局(対豊島将之竜王)以来、実に11連勝だ。あの大山康晴15世名人が記録した17連勝に、じわじわと近づいている。「本局の課題を踏まえて次局を指したい」。記録には無頓着だが、勝利には飽くなき執念を見せる。新年度初戦から藤井らしさ全開だった。

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2022年4月29日のニュース