知床観光船 発見難航の理由は?専門家が解説「地形が複雑すぎて岩なのか船なのか分からない」

[ 2022年4月29日 18:06 ]

フジテレビ社屋
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 長岡技術科学大学院教授で水難学会の斎藤秀俊会長が29日、フジテレビ系「Live News イット!」(月~金曜後3・45)にリモートで生出演し、北海道・知床半島沖で起きた乗客乗員26人が乗った観光船の遭難事故で、この日午前に発見された船体の引き上げ作業について解説した。

 24日に消息を絶った「KAZU 1(カズワン)」の船体は、知床半島西部カシュニの滝から西に約1キロ、水深約120メートルの海底で見つかった。発見された海域について、斎藤氏は「岸からゆっくり20メートルから30メートルの水深になって、その後急に深くなる。特にすり鉢状になっているような、穴のようなところが点在する。複雑な地形と言った方がいい」と説明。そのため、「ソナー(探知機)で探そうとしても、地形が複雑すぎて、なかなか岩なのか船なのか分からないという問題があった。そのあたりが捜索が難航した原因ではないかなと思います」と分析した。

 斎藤氏によると、今後の引き上げ作業も困難が予想されるという。「引き上げ船が到着するのに時間がかかると思います。その間にできることをやれるかと思いますけれども、たとえば引き続きカメラを入れていって船内の捜索等々。必要に応じてダイバーが潛るかもしれません」。しかし、120メートルの水深は通常のダイバーでは潜れないという。「訓練された隊員でも60メートルまでしか潛れません。そうなると特殊な全身を覆う装備を着けた方、たとえば自衛隊のダイバーか民間の潜水業者かがそういう装備を持っていますので、潜る可能性があります」とした。

 今後の捜査の流れについても解説した。「船が見つかっているので、まずは船内の調査を行って、何人閉じ込められているかの確認になるかと思います」。知床半島の東側、羅臼側の沖合でも乗客の男性3人が発見され、死亡が確認されている。また、ロシアの警備艦も救命胴衣を着た漂流者を発見したが、見失ったとの報告があったという。斎藤氏は「これまでに上がった方々と足し算をして、まだ足りなければ、徹底的に漂流者の捜索になると思います」と、今後の捜索範囲の大幅拡大の可能性を指摘した。

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2022年4月29日のニュース