藤井2冠のニックネームは…師匠・杉本八段の推奨は「4次元の棋士」3次元の「我々とは違う」

[ 2020年8月21日 05:30 ]

藤井聡太 2冠獲得

花束を手に笑顔の藤井新王位(撮影・岡田 丈靖)
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 将棋界で有力棋士に付きものなのが「ニックネーム」だ。加藤一二三・九段(80)の「ひふみん」、森内俊之九段(49)の「ウティ」などは名前から、佐藤天彦九段(32)の「貴族」は風貌や所作から、谷川浩司九段(58)の「光速の寄せ」、木村前王位の「千駄ケ谷の受け師」、久保利明九段(44)の「さばきのアーティスト」などは棋風からそれぞれ名付けられた。では、藤井新王位の場合は?

 師匠の杉本八段は「これまで世に出た愛称では“神の子”というのがしっくりきますね」と話す。過去の著書では「4次元の棋士」と称しており「今も個人的に納得のいくネーミングだったと思っている。3次元にいる我々とは違う次元が彼には見えている」と推奨した。

 棋士仲間の評価で異色なのが高野秀行六段(48)。3年前の連勝中に「フェラーリかベンツだと思ったらジェット機だった」とコメントし話題になった。今年7月6日に順位戦B級2組で対戦し敗れた橋本崇載八段(37)も「こちらがとぼとぼ歩いている間に、一気に抜かれた。エンジンが違う」と述懐。小手先の技術差ではなく、エネルギー源がそもそも異なるという認識で一致している。

 ここまで強烈な存在なのに、なぜか藤井には固定した異名が付かない。「天才」はこの世界あまたいるし、「怪物」では外見のイメージと違いすぎる。

 藤井と過去に2局戦っている前叡王の高見泰地七段(27)は「これといった得意戦法がないオールラウンダーなので、ニックネームが付きにくいのでは」と分析しつつ「それでもあえて言うなら“最年少探究者”でしょうか」。中盤で惜しげもなく考慮時間を消費し、最善手を見つけ出す姿に感銘を受けての命名という。「楽に勝とうとしない凄みを感じます」と話していた。

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