松村邦洋 阪神・淡路大震災から22年「忘れてはいけないことがある」

[ 2017年1月17日 14:53 ]

17日の神戸市長田区で行われる復興祈念ライブで配る豚汁の試作品を関係者らに振る舞う松村邦洋
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 阪神・淡路大震災の被災地は17日、1995年のあの日から22年を迎える。最も被害が甚大だった地域の1つ、神戸市長田区の商店街で行われる復興祈念フリーライブにはタレントの松村邦洋(49)が「トン汁炊き出し隊」として駆けつけ、来場者に振る舞う予定。熱狂的なトラ党として知られる一方、20年以上にわたってさまざまな募金・支援活動に従事してきた一面はあまり知られていない。そんな松村に被災者への思いを聞いた。 

 ◎20年以上 募金・支援活動

 22年前の震災当日。松村は、司会を務めていた日本テレビの人気バラエティー番組「進め!電波少年」のロケのため東京都内にいた。最初は「関西で何かが起きたようだ」ぐらいの印象だったが、状況を知るにつれがく然とした。

 その後、すぐに番組でモノマネ披露による募金活動を始めたが「ちゃかしている」という批判を浴びた。「お笑いタレントがそんな活動をするのはまだ認めてもらえない時代だった」と回想しつつ、「募金を受け取っていただいた方々にはもちろん、喜んでいただけました」と振り返る。

 困っている人がいるとほっておけない性格なのだろう。歌手のアグネス・チャン(61)が大使を務める、ユニセフ(国連児童基金)による募金集めのボランティア活動には、20年以上前から携わっている。

 東日本大震災が発生した2011年にはプロ野球OBの中畑清氏(63、本紙評論家)や篠塚和典氏(59)と岩手県宮古市、大槌町を慰問。つかの間とはいえ被災者らが笑顔を取り戻すことができるために、阪神のユニホーム姿で駆けつけて盛り上げた。昨年の熊本地震でも、都内でチャリティーライブに相次いで参加し、復興支援に一役買っている。

 今回、西神戸センター街で行われるライブ「ONE HEART」には04年、新潟中越地震への支援を訴えることも兼ねて、被災者激励に駆けつけた。「13年ぶりですか。久しぶりですが皆さんとまた触れあえるのは楽しみ。阪神の話も含め、聞かれたことは全部答えたい」と力を込める。

 長田区では震災直後の火災発生、家屋延焼などによって900人以上の犠牲者が出た。商店街も一見、復興を遂げたようにも映るが、地元住人によると活気はまだまだ戻っていない。それだけに松村も「隣近所同士が声を掛けあい、人と人が触れあえるのが商店街のいいところ。会話をしなくなると、人は孤独になっていく。特にお年寄りに声をかけたい」と話す。

 同区の復興には、昨年1月に41歳の若さで亡くなった地元出身の元阪神投手、安達智次郎さんも草野球の活性化などで尽力。04年に素人漫才大会に一緒に参加したこともある仲の松村も「いろいろ話したことが今も忘れられない」といい、天国へ旅立った旧友の思いも背負う心意気も見せる。

 ライブでは神戸出身のロックバンド「ガガガSP」メンバーらと炊き出しをやる一方、ご当地アイドルグループ「KOBerrieS♪(コウベリーズ)」らとステージに上がり、トークで盛り上げる予定。「月日がたっても忘れてはいけないことがある」。今後も被災者支援を続ける覚悟を、その一言にこめた。

 ◆松村 邦洋(まつむら・くにひろ) 1967年(昭42)8月11日、山口県出身。大学時代にアルバイト先のテレビ局で片岡鶴太郎に見いだされ、芸能界入り。92年、「進め!電波少年」司会就任、「ゴールデン・アロー賞」芸能新人賞受賞。ニッポン放送「オールナイトニッポン」のパーソナリティー(93〜99年)、ABCテレビ「探偵!ナイトスクープ」レギュラー出演(00〜13年)。09年3月、「東京マラソン」出場中に急性心筋梗塞を発症し入院、同4月に復帰会見した。

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