楽天・今江監督 3戦目で待望初勝利 「スパイスになる」秘蔵っ子・辰見が俊足生かしサヨナラ生還

[ 2024年4月1日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天4―3西武 ( 2024年3月31日    楽天モバイル )

<楽・西>初勝利を挙げた今江監督(撮影・篠原岳夫)
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 今季両リーグ初の劇的勝利で、待望の初白星だ。楽天は31日、4―3で西武に延長11回サヨナラ勝ちし今江敏晃新監督(40)が初勝利を挙げた。決勝点は小深田大翔内野手(28)の左犠飛で、プロ初出場だった代走・辰見鴻之介内野手(23)が間一髪、ヘッドスライディングで生還するなど采配的中。新生今江イーグルスが、勢いづく勝利をつかんだ。

 仙台の空に打球が上がった瞬間、三塁ベンチの今江監督は「いけ!いけ!」と何度も叫んだ。3―3の延長11回1死一、三塁。小深田の飛球が左翼へ上がった。悲鳴と歓声が交錯する中「外野フライが上がれば還れると思っていた」と三塁走者の代走・辰見がスタート。やや浅くクロスプレーとなったが、タッチをかいくぐってヘッドスライディングで生還。待ちに待った勝利に、杜の都が揺れた。

 3時間56分の激闘の末につかんだ初勝利。ガッツポーズも見せた今江監督は、コーチ陣と力強いハイタッチを交わし「ホッとも何も興奮しすぎてわけ分かんないです」と初白星に酔った。辰見は不振のフランコに代わり、この日合流。昨年7月に支配下登録になった22年の育成ドラフト1位内野手で、これがプロ初出場だった。走力を見極めていた指揮官は「何かスパイスになるような選手やプレーが欲しかった。最後は彼だからこそスタートを切らせたと思う。大きな一勝でもあり、彼にとっても大きな経験になった」と今江チルドレンとも呼べる23歳に目尻を下げた。

 いつの日か―│と思い描いた監督の座に、昨秋12球団最年少の40歳で就任した。19年の引退後、育成コーチ、2軍コーチ、1軍打撃コーチと着実に歩みを進めてきた青年監督は、就任会見で恩師のバレンタイン氏の言葉を借り「チームはファミリー」と宣言。この日も「めちゃくちゃ声出しました。監督だから声出さないとか、そんなのない」と笑った。

 大きな補強がない中、競争をあおり底上げを目指した。2月、対外試合で四死球を連発していた投手陣に「ゾーン内に投げ込めないとマウンドに立つ資格も難しくなる」とカミナリを落とし、勝負の厳しさを植え付けた。

 オープン戦を終えて仙台に戻った際、木々に積もる雪を見て「桜に見えた」と苦笑いした。仙台の桜はまだこれからだが、今江楽天には確かに若い力が芽吹き始めている。(花里 雄太)

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