【選抜100年 聖地の華】報徳学園・太田康介 「1」背負った父に憧れ進学 からした声は準Vへの力に

[ 2024年4月1日 04:45 ]

第96回選抜高等学校野球大会 第11日決勝   報徳学園2ー3高崎健康福祉大高崎 ( 2024年3月31日    甲子園 )

アルプス席で応援する報徳学園の太田康介(中央)(撮影・河合 洋介)
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 報徳学園の太田康介(3年)は、三塁側アルプス席から父が立っていたマウンドを見つめた。父の基樹さんは、阪神淡路大震災が発生した直後の95年選抜に報徳学園の背番号1を背負って出場。父は先発投手として初戦突破に貢献し、被災した地元を勇気づけた。「交通手段がなくて甲子園に自転車で行き、みんなで支え合いながら試合をしたと聞きました」。当時の投球映像を見たことがあり、「凄いと思いました」と尊敬の念を深めた。

 小学生の頃、当時の永田裕治監督(現日大三島監督)らが集った食事会に、父に連れられて参加したことがある。そこで報徳学園のユニホームを着させてもらった。「そのときに、これを着たいなと思いました」。伝統のユニホームに憧れ、父と同じ高校に進学することが目標になった。

 野球を始めた頃、父が投手の楽しさを教えてくれた。そのことがきっかけで投手になった。「自分は気持ちが弱い。父からマウンドでの振る舞いを学びました」。高校でベンチ入り経験はなく、昨夏からサイドスローに転向。貴重な変則左腕としてアピールする。「応援する側の複雑な感情もあるけど、チームが一つになるために応援の力は絶対に必要」。この春、父と同じ聖地には立てなかった。それでも仲間のためにからした声は、間違いなく準優勝への力になった。 (河合 洋介)

 ◇太田 康介(おおた・こうすけ)2006年(平18)7月18日生まれ、大阪府豊中市出身の17歳。小2から刀根山チャレンジャーズで野球を始めて投手と外野手。中学では伊丹中央ボーイズに所属。報徳学園では投手を務める。1メートル74、70キロ。左投げ左打ち。

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