能見篤史氏 初球を迷わず振り抜いた阪神・森下 重苦しい雰囲気をひと振りで変え、チームを救った

[ 2024年4月1日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神5ー0巨人 ( 2024年3月31日    東京D )

能見篤史氏
Photo By スポニチ

 【能見篤史 視点】森下の一発が大きかった。開幕から無得点が続く重苦しい雰囲気を、ひと振りで変えた。森下にとっても初安打が決勝3ラン。打率などの数字以上に、インパクトを与える森下らしい打席だった。

 初球を迷わず振り抜いた。外寄りの決して甘い球ではない。強いスイングで打ち返した。開幕3連戦で阪神打者が初球を「打った」安打は森下が初めて(開幕戦の3回の中野は初球バントの内野安打)。追い込まれて、打たされる傾向が続いていた。

 巨人バッテリーにも「初球から振ってこない」の意識があったかもしれない。結果的にストライクから入ることを選択させたことが、ドラマが起こりうる伏線になった。

 落としていたら3連敗で借金3。勝ったことで借金1のスタート。この差は全然違う。森下がチームを救ったと言っても過言ではない。才木も踏ん張り、勝ちパターンの継投も機能した。収穫は大きい。

 攻撃も守備もまだ万全な状態ではない。選手のコンディションを考えても、底に近い状態だ。一つ勝ったことで、さらに下がることはなくなったと思う。何でも積極的に…というより、自分のポイントでシンプルに振ることに、それぞれが取り組めばいい。昨季の経験から、それぞれが立ち直れる場所を持っている。それが阪神の強みだ。守り切ったという点では6回2死一、三塁で梶谷の強い打球を逆シングルで処理した大山のプレーも特筆したい。(本紙評論家)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年4月1日のニュース