侍・朗希 準決勝でメキシコ斬りへ「時差ボケもなく順調」米デビューに現地記者“デグロム&コール級”注目

[ 2023年3月19日 04:30 ]

練習を終え引き揚げる佐々木朗(撮影・会津 智海)
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 ROKIがメジャー軍団を斬る。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンが20日(日本時間21日)の準決勝で戦う相手が、17日(同18日)の準々決勝でプエルトリコを破ったメキシコに決定。先発見込みの佐々木朗希投手(21)ら一部選手はマイアミ市内で自主練習を行い、夜にはローンデポ・パークで準々決勝を観戦した。将来的な大リーグ挑戦の野望を秘める右腕には、大会取材中の現地記者が高い注目度を示した。

 敵情視察。スタメン全員が大リーガーのメキシコの攻撃陣に、佐々木朗はスタンドから鋭い視線を送り、逆転劇を目の当たりにした。「太陽の国」の情熱的な打線が勢いをまとい、自身に襲いかかってくる。

 約14時間のフライトを経て、この日の未明にフロリダ入り。「よく寝ました。時差ボケもなく順調にきている。長いフライトだったので体をほぐすイメージ」と昼過ぎからマイアミ市内の大学グラウンドで約1時間、キャッチボールなどで体を動かした。現地の学生にサインを求められると英語で会話。「暖かいな、と。湿度も高いし気持ちいい」と穏やかな表情で話した。

 その夜、決戦の地ローンデポ・パークに足を運んだ。世界一連覇した09年に2大会連続MVPを獲得した松坂大輔氏(スポニチ本紙評論家)が同年の大会前に韓国、台湾の強化試合を観戦したように、倒すべき相手を目に焼き付けた。「いいバッターがたくさんいる。映像を見ながら勉強していきたい」と、最新のデータを分析していく。

 「ROKI」の米本土デビューに、現地の記者も熱視線を注ぐ。大リーグ公式サイトのサラ・ラングス記者は、前回11日のチェコ戦で相手打者39スイングのうち22が空振りだった56・4%の高い「空振り率」に着目。「データを取り始めた20年以降、メジャーで(35スイング以上させて)この数字を上回ったのは、デグロムただ一人」とサイ・ヤング賞2度のレンジャーズの右腕を挙げた。デグロムがメッツ時代の昨季、8月7日のブレーブス戦でマークした59・5%に迫る数値だ。

 佐々木朗を数年間にわたりチェックしているベネズエラメディア「エル・エクストラベース」のダニエル・モンテス記者が重ねたのは、ヤンキースのエース右腕コールだ。「パワーピッチャーでありながら聡明(そうめい)。コールとたくさん共通点がある」。11日の登板は平均球速100・1マイル(約161キロ)。剛速球に加えてフォーク、スライダーを交えたクレバーな投球を高く評価した。

 史上最年少の20歳5カ月で完全試合を達成した「令和の怪物」の米初登板を、世界中が心待ちにする。「一番は自分のできるパフォーマンスを出すことが大事。優勝に向かってやってきた。勝てるように頑張る」。決勝への切符を懸けたマウンドで、視線をくぎ付けにする。(神田 佑)

 ◇ジェイコブ・デグロム 1988年6月19日生まれ、米フロリダ州出身の34歳。10年ドラフト9巡目でメッツ入りし、14年にメジャーデビュー。同年に9勝を挙げて新人王に輝き、18、19年にサイ・ヤング賞に輝いた。昨季終了後にFAとなり、5年総額1億8500万ドル(約246億500万円)でレンジャーズに移籍。1メートル93、81キロ。右投げ左打ち。

 ◇ゲリット・コール 1990年9月8日生まれ、米カリフォルニア州出身の32歳。11年ドラフトの全体1位指名でパイレーツ入りし、13年にメジャーデビュー。19年にアストロズで20勝を挙げ、最優秀防御率(2.50)に輝いた。同年オフに9年総額3億2400万ドル(約430億9200万円)でヤンキースに移籍。21年には最多勝を獲得した。1メートル93、99キロ。右投げ右打ち。

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2023年3月19日のニュース