楽天 浮沈のカギは東北出身の“マスター”が握る 本紙評論家も活躍に太鼓判「全てが優れている」

[ 2023年2月22日 10:30 ]

本紙評論家の中村武志氏(中央)と楽天・阿部と鈴木大(中村氏本人提供)
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 今年の楽天の1軍キャンプ(~2月19日、沖縄県金武町)で目を引いた選手は何人もいたが、その中でもオフに中日からトレード加入した阿部寿樹内野手(33)には大きな期待感を抱いた。

 内外野を守れるユーティリティー性と高いレベルで走攻守のバランスがとれた選手であることはもはや説明不要だろう。記者もパ・リーグの担当が長いこともあって細かな特徴までは把握できていなかったが、練習を見ているだけでも能力の高さをひしひしと感じた。

 新天地では早くもチームメートからも「マスター」を絶賛する声が飛ぶ。同学年で守備位置が重なる鈴木大は「バッティングは逆方向への打球の強さや速さが凄くて、守備は手足が長いのに足の運びや動きが柔らかくてスムーズ。めちゃくちゃ良い選手ですよ」と褒めちぎる。浅村も「同じ右打ちで参考になることがたくさんある」と話し、打撃について意見交換をしているという。

 中日時代にコーチと選手の関係だった中村武志氏(本紙評論家)も、阿部という男についてこう証言する。

 「悪いところがないし、野球においてはここまで計算のたつ選手はそうはいない。プレースタイルはもちろん、野球人としても人間性も全てが優れている。後輩には兄貴分として慕われていたし、先輩たちも阿部ちゃんには一目置いていた。普段は大人しいけど、試合になれば良い意味でスイッチが入って闘争心が出てくるタイプ。野球というのはチームスポーツであるということを誰よりも理解していて、自己犠牲の精神でチームの勝利を最優先にプレーできる“昭和の香り”がする男」

 楽天には明大の同級生・島内がおり、同じ移籍組で同学年の鈴木大らのサポートも受けながら日を追うごとにチームに馴染んでいるようにも見える。キャンプ地視察で阿部と再会した中村氏は「凄く表情が良かったし“良いチームなのでやりがいを感じます”と言っていた」と明かした上で、中日時代からの大きな変化を口にする。

 「バッティングが明らかに変わっていた。当時は打撃練習であそこまでバンバン振っていなかった。今は打球音がえげつないし、スピードも飛距離も格段にアップしている。あんな阿部ちゃんを見たことがなかったのでビックリしたけど、今が本来の姿なのかもしれない。とはいえ公式戦になれば、状況に応じたバッティングをすると思う」

 取材をしていて「東北人」っぽさを感じることがある。口数こそ多くないが、会話の中から実直さが伝わってくる。岩手県出身の「みちのくのマスター」は、間違いなく東北のファンのハートを“ワシづかみ”するだろう。(記者コラム・重光 晋太郎) 

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