新井カープ待望の救援左腕だ巨人・戸根ゲット 指揮官「一番いいところは投げっぷり」「会えるの楽しみ」

[ 2022年12月10日 05:00 ]

現役ドラフト

現役ドラフトで広島に移籍する戸根
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 出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるために導入された現役ドラフトが9日、非公開で初開催された。各球団は2人以上を対象選手として挙げ、各球団がリストの中から最低1人を指名。今回は2巡目は実施されず、12球団12選手の移籍が決まった。広島は、巨人・戸根千明投手(30)を獲得した。チームにとって救援左腕の強化は喫緊の課題で、通算158試合登板を誇る左腕の補強を選択した。広島からは正随優弥外野手(26)が楽天に移籍することが決まった。

 手薄と言える救援左腕の補強を選んだ。広島に加入する戸根は、通算158試合登板を数える即戦力。鈴木清明球団本部長は「左腕が豊富ではない。1枚いれば…と思っていた」と狙いを明かした。

 新井監督は、抑えの栗林につなぐための救援整備を掲げている。今季の救援防御率3・32はリーグ5位で、特に救援左腕の起用に悩まされてきた。森浦はチーム最多51試合に登板したとはいえ、左よりも右打者を得意としている。昨季51試合に登板した塹江は、登板26試合のみと不振に終わり、来日1年目を終えたターリーは、防御率3・11と勝ち継投を勝ち取るまでには至らず。終盤に「8回の男」として定着したのは、右腕の矢崎だった。

 戸根は、スリークオーターから重さのある直球を投じる救援左腕。15、16年と2年連続で40試合以上に登板するなど経験も豊富だ。プロ8年目の今季は登板9試合のみと不振。ただし、それは巨人の台所事情も影響している。高梨が59試合、今村が55試合と救援左腕が充実していたことで、戸根の出番が減少した。

 左腕不足と言える新天地に移籍することで、本来の姿を取り戻すことが期待される。戸根は、巨人を通じて「巨人で過ごした8年間は、かけがえのない素晴らしい時間でした。これからはライバルとなりますが、東京ドームやマツダスタジアムで僕らしく元気に腕を振っている姿をお見せできるように頑張ります」とコメントした。

 初開催の現役ドラフトで移籍したのは12選手。来季31歳を迎える戸根は、西武に移籍する陽川に次ぐ2番目の年長者だった。チームが今オフに補強した救援左腕は、ドラフト6位の長谷部(トヨタ自動車)のみ。将来性のある若手よりも、新井政権1年目の力になり得る即戦力を選択した。(河合 洋介)

 ◇戸根 千明(とね・ちあき)1992年(平4)10月17日生まれ、京都府出身の30歳。石見智翠館(島根)、日大を経て14年ドラフト2位で巨人入り。1年目から救援で46試合に登板しプロ初勝利、初セーブも記録。高校通算39本塁打の打力で20年には投打二刀流にも挑戦した。1メートル74、100キロ。左投げ左打ち。

 ▼広島・新井貴浩監督 編成から連絡がありました。戸根投手は体にパワーのある左投手。僕も対戦したことがあるけれど、彼の一番いいところは「打てるものなら打ってみろ!」という投げっぷり。縁あって仲間になった。会えるのを楽しみにしています。

 ▼広島・松田元オーナー (戸根は)球の切れがいい。(14年ドラフトで)巨人が獲らなければ、うちが獲っていたかもしれない選手だった。(正随は)パワーがあり、パ・リーグで生きる可能性がある。活躍できるチャンスがあるという意味合いで、現役ドラフトの趣旨に即した形になったのではないかと思う。

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