常葉大菊川・辻“ショック療法”で打棒復活 「打って見返したい」5度目のセンバツつかむ

[ 2022年10月18日 04:00 ]

打つだけではなく、守備でも懸命にアピールする常葉大菊川・辻
Photo By スポニチ

 来春選抜の重要な参考資料となる第75回秋季東海地区高校野球大会が22日、草薙と清水庵原の両球場で開幕する。聖地への切符は3枚。可能性に挑む静岡県代表の常葉大菊川、常葉大橘、加藤学園の上位3校にスポットを当てる。4度目の静岡王者として5度目の“春”をつかみに行く常葉大菊川は、津商(三重(2))―市岐阜商(岐阜(3))の勝者と対戦。打撃復調気配の辻樹人右翼手、絶好調の岩崎匠悟二塁手(ともに2年)がつないで神風を吹かす。

 どん底をさまよった辻が、東海の舞台ではい上がる。出場有無に関係なく、精いっぱいの準備はしてきた。

 「感覚が戻ってきました。今はチームに貢献する自信はありますし、ここ(東海)で打って見返したいです」

 西部地区3連勝の立役者。石岡諒哉監督(33)が思わず「辻のおかげ」と絶賛したものだ。それが県大会に入ると全5試合で13打数1安打、打率・077と低迷。5三振が示す通り「準決勝から自信を失っていた。打てる気がしませんでしたし、“いつ外されるか”だけでした」と相手投手ではなく、不安と格闘していた。

 チームの層は厚い。代わりもいる。県大会終了1週間後の練習試合・慶応(神奈川)戦で初めてスタメン落ちを経験。危機感が現実となり「打てなくてもずっと3番で使ってもらっていたし、甘えがありました。現状に気付かされました」と良い意味で本気スイッチが入った。直後の一戦で最終回に走者一掃の逆転二塁打を記録し、翌日には9番ながら2戦7打数4安打。まさに“ショック療法”となった。指揮官は「本番のスタメンはわかりません」と明言を避けつつ「サイズ(1メートル82、78キロ)があるし。爆発してほしいんです」と期待感を抱く。

 今季甲子園のスター山田陽翔(近江)と同じ大津瀬田ボーイズ(滋賀)出身。打撃を教わった恩もある。大いに刺激を受けながら「チャンスは目の前に迫っている。(07年春に捕手で日本一に輝いた)石岡さんを、監督としても優勝させたいです」ときっぱり。東海大会は実現への通過点に過ぎない。(小澤 秀人)

 ◇辻 樹人(つじ・みきと)2005年(平17)5月12日生まれ、滋賀県大津市出身の17歳。伊香立小4年から真野SSで野球を始め、6年時は3番・投手兼一塁手。仰木中では大津瀬田ボーイズでプレーし、6番・中堅手として関西大会準優勝。常葉大菊川入学後は2年秋から外野手でレギュラー。50メートル走6秒2。家族は両親と兄。血液型A。

 ≪岩崎“恐怖の8番”から3番に昇格≫対照的に県大会15打数9安打5打点。8番として打率・600と気を吐いた岩崎は「県大会を通して自信になりましたし、今は手応えもあります」と笑みがこぼれる。しかも最近の練習試合から3番に昇格。「(当日の打順を示す)ボードを見てビックリしました」と一瞬の戸惑いも「後ろに(プロ注目捕手で4番の)叶(鈴木)がいるから」と自分を見失うことなく、コンスタントに結果を出している。

 浜松工との西部県代表決定戦(7―3)でこん身のバックホームがチームを救った。振り返れば1年前、同校との西部初戦で自身の失策を機に逆転負け。以来、1度も公式戦のベンチに入れなかった悔しさがある。「お前がキーマンだ」と石岡監督に送り出された雪辱戦で奮起。「守備に自信が付き、バッティングも良くなりました」と呪縛から解き放たれた岩崎に怖いものはない。

続きを表示

2022年10月18日のニュース