楽天 2者連続スクイズの奇襲で7連勝 リーグ最速20勝到達 貯金14で首位快走

[ 2022年5月6日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天8―4日本ハム ( 2022年5月5日    札幌D )

<日・楽>6回、勝ち越しのセーフティースクイズを決める辰己(撮影・高橋 茂夫)
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 楽天はこどもの日の5日、2者連続スクイズの奇襲を決めるなど、そつのない野球で日本ハムに8―4で逆転勝利。石井一久監督(48)のタクトに選手が応え、リーグ優勝と日本一を達成した13年以来となる球団最多タイの7連勝を飾った。派手で大味な野球ではなく、堅実さと個性を生かした采配で快勝。リーグ最速で20勝に到達し、貯金14で首位をひた走っている。

 ただ打つだけが得点のすべではない。4―4の6回。選手の個性が詰まった奇襲を仕掛けた。1死一、三塁でまず辰己。初球のセーフティースクイズはファウルになったが、2球目も続けた。低めスライダーを一塁線に転がし勝ち越しに成功した。相手失策も絡み、なお一、三塁。続く炭谷は1ボールからの2球目でスクイズを決めた。2者連続スクイズは昨年6月5日の広島戦以来で、「石井スペシャル」とも言える一手で主導権を握った。

 「バントがうまくなったところを見せられた」と胸を張る辰己は、ライン際に打球を転がし、俊足で一塁手の悪送球を誘った。続く炭谷は外角低めのボールゾーンに体を投げ出し、勢いを殺した打球をきっちり投手の前へ。「9番なので、状況ごとに作戦は頭に入れている。絶対に前に転がすという気持ちだった」と明かした。

 こどもの日。多くの少年少女が憧れの選手のプレーを目で追った。日本ハムが清宮の2打席連発など序盤の3本塁打で派手な攻勢に出たのに対し、個性を生かした采配と、それに応える堅実でそつのないプレーで逆転勝利につなげた。石井監督は「派手じゃないプレーが一番難しい。やるべき条件でしっかりやってくれた」と応えた選手を称賛した。

 9回に右翼へ5号ソロの浅村は、首位快走の要因を「誰が良いとか悪いではなく、みんなでやれていること」と証言した。この日は無安打だったが、1番・西川が高い出塁率や機動力でチャンスを生み、中軸が走者を還す。投手は先発陣が試合をつくり順調に白星を重ね、この日も無失点だった救援陣も好調。適材適所の起用に重きを置く指揮官も「みんな目の前のやるべきことをやってくれている」。4失策はリーグでずばぬけて少なく、昨季リーグ最少だった盗塁(45)は同2位の26盗塁と大きく改善。攻撃の選択肢は広がり、ミスは圧倒的に少ない。

 大型連休中の無敗は12球団唯一で、チームの連勝を球団記録に並ぶ7に伸ばした。うち5勝が1点差勝ちで、総合力で接戦をものにしてきた。「目標にした選手はいっぱいいた。子供たちもいろんな選手をまねしてみるのは良いこと」と炭谷は少年時代を振り返り、穏やかに話した。リーグ最速20勝には、教科書にしたい野球がたくさん詰まっている。(重光 晋太郎)

 ▽楽天前回の2者連続スクイズ 昨季6月5日の広島戦(マツダ)の8回無死満塁。太田が初球の変化球を投前に転がし、三塁走者が生還。さらに1死二、三塁から次打者・村林も初球をプッシュ気味に一塁方向へ転がした。意表を突かれた投手の塹江は、焦ってバランスを崩すと本塁へ悪送球。ボールが転々とする間に一気に2者が生還した。2者連続スクイズは09年5月13日に楽天が決めて以来、12年ぶり。当時指揮を執ったのは野村克也監督で、恩師である名将をほうふつさせる奇策成功だった。

 ≪球団タイ記録≫楽天が球団タイ記録の7連勝。この日は2点差を逆転し、今季は逆転勝利がリーグ最多の9度。一方、逆転敗戦は1度もない。また先制試合も13勝0敗1分けと無敗が続く。これで開幕27試合目で20勝リーグ一番乗り。チームでは17年と並ぶ最速到達となった。過去、開幕27試合目以内でパ20勝一番乗りは18年西武(27試合目)まで11度。うち9度が優勝しているが、前回の楽天は3位でV逸。今季はどうか。

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