森繁和氏 オリックス・山本 フォークの不調カバーした幻惑“ドロップ” 上下の変化でロッテ打線翻弄

[ 2021年11月10日 22:20 ]

クライマックスシリーズ ファイナルS第1戦   オリックス1-0ロッテ ( 2021年11月10日    京セラD )

<パCSファイナルS オ・ロ>初回2死二塁、レアードを見逃し三振に抑え、雄叫びをあげる山本(撮影・坂田 高浩)
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 全ての球種が一級品の山本だが、カーブもまたしかり。縦に大きく割れる、昔でいうドロップのような変化。投球の幅を広げるし、相手にとっては大いに邪魔になっていた。直球との球速差は30~40キロ。緩急でも翻弄(ほんろう)した。

 中15日。その影響か、立ち上がりからフォークの出来がいまひとつだった。カバーしたのがカーブだ。初回2死二塁ではレアードを見逃し三振。今季山本から2本塁打の大砲は腰が浮き、全く反応できなかった。決め球に使う一方、初球からも投じた。山本は直球が速い。相手はその直球にタイミングを合わせるため初球からカーブを狙ってくる可能性は低く、楽にカウントを稼げる。初球カーブは7球。うち5球が見逃しストライクだった。

 バッテリーは高めの直球も積極的に投じていた。フォークを生かすためだが、加えて縦に大きく曲がるカーブもあるので、相手は目線を上下に激しく動かされた。この縦の、上下の組み立てがあるため、山本は見せ球以外は右打者の内角にほとんど投じなかった。相手は右打者7人。内角に投げ、万が一にも甘くなったら一発がある。プレートの一塁側を踏んで外角の出し入れ、そして上下の変化で相手打線を牛耳った。

 山本ならではの鋭い腕の振りがあればこそのカーブだが、それだけではあれだけ縦に落ちない。指先と手首の使い方が巧みなのだ。そのカーブで幻惑しているうちに投球を立て直し、途中からはフォークも低めに決まりだした。1―0完封。これほど計算できる投手はなかなかいない。

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2021年11月10日のニュース