東尾修氏 楽天・岸の配球、相手に合わせた投球術は見事 これなら疲労は残らない

[ 2021年4月6日 22:31 ]

パ・リーグ   楽天13ー2西武 ( 2021年4月6日    メットライフD )

<西・楽(1)>今季2勝目を挙げた岸(撮影・白鳥 佳樹)
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 楽天の岸孝之投手(36)が6回3安打2失点で2勝目を挙げた。スポニチ本紙評論家の東尾修氏(70)は、この1試合だけでなく、年間を通じて疲労を残さない術を知るベテランの投球術を絶賛した。

 岸はさすがに自分のことをよく知っている。長い腕を生かした独特のフォームに緩いカーブ。どんな球種でもストライクが取れるし、勝負球にもできる。実績のない若手にはいい意味で見下ろして投げ、完投を意識したペース配分まで考えて投げていた。

 主軸に故障者が多い今の西武打線は下位に若手が並ぶ。球速を140キロそこそこに抑えて変化球を巧みに使って打ち取る。逆に実績ある主軸に対しては、143~145キロくらいまで球速を上げて力を入れる。1点をリードして迎えた3回2死二塁で、3番・森への投球に岸の持つ技術の高さが表れていた。

 焦ってストライクを取りに行かず、余裕を持って攻める。2―2から内角高めの直球をファウルさせ、続く5球目も内角直球。わざとボール半個くらい外してフルカウントにした。ポイントはボールを決して中へ甘く入れないこと。若い投手なら力んでシュート回転して中へ入ってしまうところだが、こういう場面では絶対に間違わない。岸の制球力だから成せる技で、内角を意識させて最後は外角へ108キロカーブでタイミングを外して一ゴロに打ち取った。

 点差がついた5、6回は打たせて取って6回2失点で交代。点差に合わせた投球で、疲労感も残らなかっただろう。この岸にように今季の楽天は田中、涌井、則本と完投意識の強い先発投手が揃う。戦前の予想通り、ソフトバンクの牙城を崩せるのはやはり楽天が1番手。そう感じさせる岸の投球だった。(スポニチ本紙評論家)

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2021年4月6日のニュース