マー君 まるで阿修羅 登板ごとにスタイル変化 剛球から一転、世界一軍団翻ろう

[ 2018年5月4日 11:58 ]

ア・リーグ   ヤンキース6―5アストロズ ( 2018年5月3日    ヒューストン )

アストロズ戦に先発したヤンキースの田中(AP)
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 ヤンキース・田中将大投手(29)は3日(日本時間4日)、アストロズ戦に先発して6回0/3を5安打3失点。自身に勝敗は付かなかったが、チームは9回に逆転し、6―5で3連勝を飾った。

 リーグトップに並ぶ5勝目は目前だった。6回まで三塁も踏ませず無失点。だが、7回先頭のグリエルにスライダー、レディックにはスプリットを拾われた。ストライクゾーンからボールに落とす絶妙のコースで、相手の態勢を完全に崩しながら運ばれた。続くブレグマンへの初球は、内角高めに抜けた速球がユニホームをかすめたと判定され死球。チャレンジの末、2分43秒に及んだビデオ判定でも覆らず。3―0でリードながら無死満塁として降板を告げられた。

 2番手グリーンも誤算だった。遊撃内野安打、右前打と立て続けに適時打を浴び、次打者への捕逸で同点の生還を許した。田中が残した3走者全員が還り、5勝目は消え、3失点が記録された。

 「うまく自分の持っているボールを使いながら、6回まではしっかり抑えられました。チームが勝って良かったけど、あの降り方は最悪ですよね。グリーンに申し訳ないです」

 いずれも6回以上を投げて1失点で勝利投手になったここ2戦(4月23日ツインズ戦、28日エンゼルス戦)は、力強さを増した直球で支配した。この日は一転、スライダーとスプリットの変化球で積極的に振ってきた相手打線を手玉に取った。全83球中、スライダー29球、スプリット26球で、速球系は24球にとどまった。

 昨季世界一軍団の裏をかくかのような投球。昨年10月のア・リーグ優勝決定シリーズでは直球主体の投球で、2戦計13イニングを2失点と圧倒。昨秋に植え付けたイメージと、好投したここ2戦の残像を利用するように、再びモデルチェンジした。前回のエンゼルス戦は投球板の三塁側に軸足を置きながら投げて直球に角度を付け生かしたが、この日は再び投球板の中央へ。右へ左へ、ホームベースの横幅約43センチをより広く感じさせた。

 内容も結果も伴う好投が続きながら、先を求め挑戦と進化を続ける。「現状維持はない。少しでも良くする、良くなっていくことの繰り返し。これでいいや、これを維持しよう、ということはない」。3つの面を持つ阿修羅のように投球スタイルをゲームごとに変え、的を絞らせない。

 昨季リーグ優勝決定シリーズで敗れ、ここ敵地ヒューストンでは1勝もできなかった。その宿敵に3勝1敗でカード勝ち越し。「そこは自分たちの自信にしていいんじゃないかと思います」。確かな手応えを胸に、試合後は本拠ニューヨークへ。次回登板は中5日で9日(同10日)が有力。地区首位のレッドソックスとぶつかる。(ヒューストン・後藤 茂樹)

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2018年5月4日のニュース