兄はDeNA細川 明秀日立・拓哉 敬遠のはずが…ヒヤリ142球完投

[ 2018年3月24日 05:30 ]

第90回選抜高校野球大会第1日・1回戦   明秀学園日立4―3瀬戸内 ( 2018年3月23日    甲子園 )

<瀬戸内・明秀日立>9回2死三塁、瀬戸内・門叶を二飛に仕留めガッツポーズの明秀日立・細川
Photo By スポニチ

 開幕し、1回戦3試合が行われた。初出場の明秀学園日立(茨城)は9回に4―3と瀬戸内(広島)を逆転。細川拓哉投手(3年)が142球を投げ抜いた。聖光学院(福島)は開幕戦で東筑(福岡)に3投手の継投で逆転勝ち。国学院栃木も同じく3投手のリレーで英明(香川)を破り、18年ぶりセンバツ勝利を挙げた。

 フラフラッと上がった飛球。二塁・北野が右翼・岩田と交錯しながらもウイニングボールをつかんだ。細川の顔がほころぶ。1点を守る9回2死三塁、昨秋中国大会で1試合4本塁打を記録した4番・門叶(とがの)と勝負した…わけではなかった。「外したつもりが手を出してくれた。勝ててホッとした」。実は、直前の伝令で敬遠を指示されていた。

 「(9回に)点を取ってくれたのは心に響いた」。土壇場に逆転してもらった。8安打6四死球、142球で完投。最速は140キロで「関東大会(1回戦の山梨学院戦)でも171球を投げた。疲れはなかった」と力強く言った。

 売り出し中のDeNA外野手・細川成也の弟として注目を浴びる今大会。リトルリーグの見学に行った時、打撃練習を勧められ恥ずかしがって尻込みする兄を横目に率先してバットを持った。弟に引っ張られて野球を始めた兄は、努力家ぶりでプロへの扉を開いた。

 弟は同じ高校に進み、黙々と鍛える兄を見てきた。エースになると、練習では必ず先頭を走って引っ張った。この日、序盤は力んで制球に苦しみ4回までに3失点。それでも聖地に立てなかった兄の分まで、負けるわけにはいかなかった。攻撃中は1死からキャッチボールし体を冷やさないよう注意を払った。金沢成奉監督の「力むな、腕を振れ」というマウンドまで聞こえる大声に励まされ、徐々に調子を上げた。

 聖地初勝利で学校の歴史に名を刻んだ。次戦は5日目に高知と戦う。「今日は60点。1〜9回まで100点の投球ができれば、細川の弟ではなく明秀の拓哉と言ってもらえるかな」。尊敬する兄にライバル心ものぞかせた。 (松井 いつき)

 ▼DeNA・細川(16年度卒OB)9回からテレビ中継を見ました。逆転してくれと思いながら応援していました。母校の甲子園初勝利。この先もどんどん進んでほしいです。

続きを表示

この記事のフォト

2018年3月24日のニュース