瀬戸内・門叶 不発…大器片りんも最後の打者に「欲が出た」

[ 2018年3月24日 05:30 ]

第90回選抜高校野球大会第1日・1回戦   瀬戸内3―4明秀学園日立 ( 2018年3月23日    甲子園 )

<瀬戸内・明秀日立>9回2死三塁、瀬戸内・門叶は二飛に倒れて最後の打者に
Photo By スポニチ

 4番の仕事を果たせなかった悔しさがにじんだ。敗戦後の瀬戸内・門叶(とがの)はロッカールームで座り込み、帽子を顔に当てて肩をふるわせた。

 「次のバッターにつなぐ意識が飛んで、長打を打ちたいという欲が出てしまった。チームに迷惑をかけて申し訳ない」

 1点を追う9回2死三塁。一打同点、一発が出れば逆転サヨナラの重圧がスイングを狂わせた。初球の外角高めは見逃せばボールだったが、狙っていた直球に思わずバットが出て二飛。一塁付近で大きく天を仰いだ。

 昨秋の中国大会米子松蔭戦で1試合4本塁打を放った右のスラッガー。アルプスで見守った父・好司さん(45)は「4本を打った次の日だけ学校でちやほやされて、あとは普通だったみたいですよ」と当時を振り返る。それでも試合になれば主砲として警戒される。戸惑いもある中、チームのスローガンでもある「初心」を忘れず努力を重ねてきた。初回2死二塁では敬遠気味に歩かされ、3回には直球を痛烈にはじき返す中前打を放つなど大器の片鱗は見せた。

 7回1死一塁では細川の外角直球に見逃し三振。「ストレートの威力が違った。気おされた感じがあった」。初めて立った聖地で好投手と対戦したことも収穫の一つだ。

 「甲子園に立てたおかげで自分のレベルがわかった。絶対に夏に帰ってこようと思いました」

 再起を誓う両目の涙は、もう乾いていた。(石丸 泰士)

続きを表示

この記事のフォト

2018年3月24日のニュース