悔やむ原口「慎重にいきすぎた」“手応え”が招いた痛恨の押し出し

[ 2016年6月20日 10:30 ]

<神・ソ>5回表1死満塁、今宮は先制となる押し出し四球を選ぶ(投手・岩貞)

交流戦 阪神4-8ソフトバンク

(6月19日 甲子園)
 【森田尚忠の研球】捕手・原口にとって悔やむべきは、城所の満塁弾よりも今宮へ与えた押し出し四球だった。0―0で迎えた5回に一挙5失点。2死満塁からあと一つのアウトが取れず、勝敗の行方を左右する5点を失った。4―8で敗れた試合後。原口が分岐点の一つに挙げたのが、今宮の打席だった。

 「慎重にいきすぎた部分もあったのかな、と思います」

 今宮と城所。いまは12球団屈指の1、2番コンビであるに違いないが、この試合に限れば今宮で勝負を決めたかった。2打席凡退だった今宮に対し、城所は四球と中前打…。その結果もさることながら、原口には確信に近い根拠があった。

 岩貞―原口のバッテリーにとって、当初の思惑通りに「今宮対策」は進んでいた。初回。プレーボール直後の初球ストレートを内角低めへ投げ込むと、2球目も同じ内角低めにストレートを投じた。3球目の外角球をはさみ、4~6球目も今度はスライダー、カットボールでの内角攻めを続け、いずれもファウル。中飛となった7球目の結果球は外角チェンジアップだったが、実に「7分の5」が内角だった。原口がその意図を明かす。

 「岩貞と話し合って、今宮はあそこ(=内角)でいこう、と。(1、2打席とも)うまく抑えられたんですが」

 17日の初戦でストップしたとはいえ、5月24日のオリックス戦から20試合連続安打を続けていた今宮である。好調な打撃を封じるためには、一筋縄ではいかない。第1打席から極端な配球を見せることで、内角を必要以上に意識させたかった。それ以上に柳田、内川、松田とつながる打線を機能させないためにも、今宮封じは必須だった。

 初回に打った布石は有効だった。今宮は3回の第2打席も外角ストレートを打ち上げ、平凡な左飛。無意識のうちに、体の開きが少し早くなっていたのか。一番近いところから打者のスイングを観察する原口にとって、手応えを感じるには十分な内容だった。

 0―0の5回2死満塁、今宮の打席に戻る。初球こそ外角低めへチェンジアップが決まったが、2、3球目はその外角チェンジアップが外れた。4、5球目は一転ストレートを続けたが結果は押し出し。1、2打席でつかんだ手応えが逆に、バッテリーの硬さを生んだ。原口の言う「慎重にいきすぎた」分だけ、投げっぷりの良さという岩貞の長所が消えた。これが勝負のあやなのか。痛恨の押し出し四球に改めて、野球の難しさを知った。

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2016年6月20日のニュース