マエケン 大谷ら抑え沢村賞 狙って獲った“2度目の受賞”

[ 2015年10月27日 05:30 ]

沢村賞を受賞し、笑顔の前田健

 「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長)が26日に都内で開かれ、広島・前田健太投手(27)が選出された。5年ぶり2度目の受賞で、セからの受賞も5年ぶりとなった。セ・リーグ最多勝に輝いた15勝など、選考基準7項目のうち6項目をクリア。日本ハム・大谷翔平投手(21)ら他候補を抑えた。複数回受賞は広島では1982年、86年の北別府学以来、2人目の快挙となった。

 笑顔がはじける。数ある個人タイトルを手中に収めてきた前田健でも、沢村賞は別格だった。

 「特別な賞。該当者なしという可能性もある賞なので。他のタイトルは必ずどんな数字であれ、絶対に1番がある。この賞に関しては一人も出ない可能性がある。そういう意味では光栄な賞」

 常に個人の数字よりチームの勝利を優先する右腕が、この賞だけは狙って獲りにいった。初受賞翌年の11年以降、個人の目標は「2度目の受賞」と公言し続け、狙って獲ることに意味があると強く意識してきた。

 「ここ数年、獲りたいと思って獲れなかったので、1回目よりうれしさは大きい。大谷と藤浪(阪神)がライバルになっていたと思う。2回目の受賞は難しいと聞いていたので、もしかしたら厳しいかなという思いと、項目のクリアの関係でいけるのかな…という思いが半分半分でした」

 今季は29試合に登板し、15勝をマーク。投球回数は両リーグで2人だけの200回(206回1/3)超えだった。防御率2・09、175奪三振、勝率・652を記録し、選考基準7項目中、完投数以外の6項目をクリア。他の追随を許さない成績で、困難とされる2度目の栄誉を引き寄せた。

 13年オフに初めて、近い将来のメジャー挑戦の意向を表明。球団は今オフのポスティング・システム利用について、本人の意向を確認した上で慎重に判断する方針を示している。この日も「2度目の沢村賞受賞が追い風になるのでは?」の質問が出たが、前田健は強い口調で言い切った。

 「僕が決めることではないし、この賞をそういう感じに使いたくない。そういうふうに書かれるのも嫌ですし。歴史あるしっかりとした賞なので、それは違うと思う」

 投手として最高の名誉に敬意を払い、話題をシャットアウト。今後は侍ジャパンのエースとして「プレミア12」で世界一に挑む。日本球界最高の投手が、その実力を全世界に向けて見せつける。 (桜井 克也)

 ▽沢村賞 プロ野球史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、故沢村栄治氏(巨人)を記念し1947年に制定。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる賞で2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象となり、89年から両リーグに拡大。選考基準は(1)15勝以上の勝利数(2)150奪三振以上(3)10以上の完投試合数(4)防御率2・50以下(5)200投球回以上(6)登板25試合以上(7)6割以上の勝率、の7項目。加えてチーム勝利への貢献度、連勝連敗、プロとしての品格なども選考に加味される。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

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