原監督「心が痛い」…全選手に賭博聴取へ 球団に意見130件

[ 2015年10月7日 09:35 ]

練習前に円陣を組みナインに話をする原監督(中央)

 巨人・福田聡志投手(32)が野球賭博に関与していた問題を受け、球団は6日、原辰徳監督(57)やコーチ陣をはじめ、所属する全選手と球団職員からヒアリングを開始した。この日からクライマックスシリーズ(CS)に向けて、東京ドームで練習を再開したが、白石興二郎オーナー(69)と久保博球団社長(66)が「緊急集会」と称してチームに訓示。原因究明と再発防止へ乗り出した。

 練習前の東京ドームのベンチ裏通路が、球団首脳やチーム首脳陣、選手らの球場入りを待つ報道陣であふれた。普段とは全く異なる光景。張りつめた空気が漂っていた。

 選手サロンでは白石オーナーと久保社長がチームへ約15分間訓示。このミーティングを「緊急集会」と称した同オーナーは「巨人軍の創設者である正力松太郎は“巨人軍は紳士たれ”という訓示を残した。グラウンドの外でも紳士たらなければならない。そういう責任を巨人軍は背負っている」と切実に訴えた。

 球界に激震を見舞った福田の野球賭博問題。グラウンドではナインが円陣を組んだ。原監督も沈痛な表情。「事の大きさをしっかりと受け止めています。その中でまた気を引き締めて取り組んでいくということ。監督として非常に心が痛いし、いいニュースではない。こういうことが絶対に、未来永劫(えいごう)起きないようにしていきたい」と言葉を選びながら話した。

 川崎市のジャイアンツ球場と、フェニックスリーグが行われている宮崎市内の2軍宿舎でも、注意喚起の訓示が行われた。久保社長は「私生活を含めた身辺の再点検をしてほしい」と話し、原因究明と再発防止に向け、1、2軍全選手、首脳陣にとどまらず、全球団職員へのヒアリングを行う方針を明かした。既に1軍選手に対しての調査は東京ドームでスタート。野球賭博の経験や常習者との交友がないかなど、調査はCSファーストステージ開幕の10日までには終了する予定だ。

 久保社長はファンに向け、6日付で球団公式サイトに謝罪文を掲載した。球団によれば、この日は球団事務所に電話で80件、メールで50件の意見が寄せられた。「厳しい処分を」「CSを辞退しろ」などのほかに「動揺せずに頑張ってくれ」という激励もあったという。同社長は、CSを辞退しない方針をあらためて示し「選手、チームがやることは戦うこと。シーズン前に掲げた日本一奪回という可能性は残っている。ぜひ成し遂げてほしい」と話した。

 原監督は、練習中は普段以上に声を張り上げてナインを鼓舞。かつてない逆風の中、3年ぶりの日本一へ「プロとしてジャイアンツの戦いをしっかりできるようにしていきたい」と決意を示した。(大林 幹雄)

 ◆巨人・福田の野球賭博概要 福田は、同僚の笠原から紹介された男性A氏に誘われ、8月に夏の甲子園大会の複数試合で賭けを行った。ここで大きく負けると、A氏から「遊びだから、プロ野球で取り返せばいい」と持ち掛けられ、プロ野球と大リーグでそれぞれ約10試合、賭けをした。巨人の試合も3、4試合含まれていた。最終的に負け額は百数十万円に。福田は子供の出産を間近に控えていたため賭けをやめようと考え、A氏とのメールに応えなくなった。

 すると取り立てが始まり、9月30日にA氏がジャイアンツ球場を訪れ「福田選手の借金の取り立てに来た」と話したことで今回の問題が発覚。球団はただちに福田に事情聴取をし、経緯を熊崎勝彦コミッショナーに通報。5日に記者会見で発表して、同日にNPB常設の調査委員会も第1回会合を開いた。

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