サブロー代打初球ひと振りサヨナラ 155キロ打ち抜いた

[ 2013年6月30日 06:00 ]

<ロ・ソ>9回1死一、三塁、サヨナラ右前安打の代打・サブロー(左から2人目)にナインが駆け寄る

パ・リーグ ロッテ3-2ソフトバンク

(6月29日 QVC)
 若手から容赦ない祝福とはいかない。それだけ年季の差がある。37歳のサブローは、歓喜の輪で人さし指を突き上げた。犠飛や押し出し四死球はあったが、サヨナラ安打となると、01年8月31日の西武戦(千葉マリン)以来12年ぶり。しわをたたえた優しい表情に喜びを込めた。

 「前は結構、サヨナラは多かったんですけどね。12年前のことも覚えてますよ。久しぶりだね」

 頭は冷静に、心は熱かった。同点の9回1死一、三塁という絶好の場面に代打で登場。自分の打てる球は何かを考えた。その答えが速球だった。「千賀の球は速いが速球一本。ここ何日か、速い球に対してきれいにバットが出ている感じがあった」。そして気迫。「一塁走者が走ったら、歩かされる。初球に集中していた。自分で決めたかった」。やや外寄り高めの155キロ速球をはじき返した打球は、糸を引くように右中間へ転がった。

 8回に1点を勝ち越した後の2死二、三塁。ここでも代打準備したが、伊東監督の「もう一山ある」との考えで見送られた。仕切り直しの打席だったが「もう慣れました。巨人の時(11年)は代打が多かったし、オンとオフはできている」。チーム68試合目で先発出場は25試合しかない。実戦不足を、本拠地では試合序盤までマシン打撃でバットを振り、ビジターでは全体練習より前に若手に交じって球場で早出練習を行う。その努力をみんなが知っている。

 9連戦の8戦目。ナインの疲労もたまっている。しかも、負ければ2位に1ゲーム差と詰め寄られる可能性があった。1点リードの9回に失策も絡んで同点とされた直後の千金打。伊東監督も「チームを救ってくれた」と最敬礼だ。失策を犯したPL学園の後輩・今江に「ありがとうございました」と抱きつかれたが「俺が打たなくても(次打者の)おまえが打ってるよ」と優しく語り掛けた。

 「いつまでも僕ら(ベテラン)が出ていても強くはならない。ウチは連勝もあるが、連敗の多い伝統がある。だから連敗しなかったのが大きい」。若手の勢いが目立つ今年のロッテだが、サブローの存在がチームの安定を生んでいる。

続きを表示

2013年6月30日のニュース