加藤コミッショナー 統一球問題に「誠意」繰り返す

[ 2013年6月30日 07:49 ]

加藤コミッショナーは、ピーター・オマリー氏(背中)をエスコートする

 統一球問題の渦中にいる加藤良三コミッショナー(71)が29日、東京都文京区の野球殿堂博物館で行われたセレモニーに出席し、スポニチ本紙の直撃取材に応じた。15日ぶりに公の場に姿を見せた加藤コミッショナーは第三者委員会の調査に協力する意向を示すなど、自らの「誠意」を強調。労組・日本プロ野球選手会からは事実上の退任を要求する要望書が提出されているが、自身の進退についても9月末とされる同委員会の最終報告を待ちたい考えを明かした。

 加藤コミッショナーは、元ドジャースオーナーのピーター・オマリー氏とともに午前9時30分すぎに野球殿堂博物館に到着。笑顔で肩を並べ、元外務官僚らしく英語で会話を交わした。今や社会問題ともいえる統一球の無断変更。14日に行われた12球団代表者会議後の会見以来、15日ぶりに口を開いた加藤コミッショナーは計3度、「誠意」との言葉を繰り返した。

 「第三者委員会がマンデート(権限、任務)というか、権威を持っていろんな事案をリサーチされる。私はそれを静かに見守って、慎重に、きちんと、誠意を持って対応したいと思う」

 前日に初会合が行われた、統一球問題を検証する第三者委員会(那須弘平委員長)。加藤コミッショナーは、調査される「当事者」だ。ボールが変更されていたことを、本当に知らなかったのか。そうだったとしても、情報共有などの日本野球機構(NPB)のガバナンス(統治)の問題点は…。全ての実態解明が求められている中で、第三者委員会からの事情聴取などの要請についても「多分あると思う。コミッショナーですからね。その時に誠意を持ってお話ししたい」と、全面的に協力する姿勢を示した。

 27日には、日本プロ野球選手会が加藤コミッショナーの事実上の退任を要求する要望書を提出した。球界トップは、その適性を否定された形となっている。加藤コミッショナーは、要望書は読んでいないとした上で、自身の進退について「ガバナンス(の不足)を露呈するというところは私の責任」と言及。そして「まさに、第三者委員会の方がどういう見解を持たれるか」と続けた。最終報告書の提出時期は9月末。その調査内容を待って、あらためて出処進退についての考えを明かす可能性を示唆した。

 「(調査の)プロセスに予断を与えないように、誠意を持って対応したい」と加藤コミッショナー。岐路に立たされているともいえる日本プロ野球界。新たな方向性が見えてくるまで、さらなる時間を要する気配が漂っている。

 【これまでの加藤C発言】

 ▼6月12日 全く知らなかった。隠蔽(いんぺい)?私が知ったのはきのう(11日)。もし知ったならば公表しただろうし、すべきだった。責任うんぬんについて、私は不祥事を起こしたと思っていない。情報の流れが悪かった。ガバナンス(統治)に対する監督不十分だった。反省している。(統一球が今季から飛ぶように変更されていたことが明らかに。それを受けての会見)

 ▼同14日 大変な失態であったと猛省しております。職務に磨きをかけて機構を強くする。(12球団代表者会議後の会見。統一球変更を公表しなかったことを謝罪する一方、辞任の意思がないことを強調)

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2013年6月30日のニュース