三振率83%!桐光・松井、報徳から6回15K

[ 2013年6月30日 06:00 ]

6回を投げ15三振を奪った桐光学園・松井

練習試合 桐光学園10―3報徳学園

(6月29日)
 昨夏の甲子園で1試合22奪三振の大会記録を樹立した桐光学園(神奈川)の松井裕樹投手(3年)が29日、報徳学園(兵庫)との練習試合に先発。今春センバツ出場の強豪相手に6回を3安打無失点に抑え、18アウトのうち15個を三振で奪った。7月14日の神奈川大会初戦まで約2週間。最後の夏に臨む怪物左腕がいよいよ本番モードに突入した。

 夏の予行演習には、十分すぎる相手。松井は今春センバツ出場の報徳学園相手に面白いように三振を奪っていった。6回2死。3番・山口から空振り三振を奪うと、ベンチに小走りで戻りながら自然と笑みがこぼれた。7回からは左翼へ。18のアウトのうち、実に15個を三振で奪った。

 試合後、松井は取材に応じなかったが、代わって野呂雅之監督が「(あと2週間)どれだけ調子を維持できるか。先週よりも今週は疲れているはずだが、気持ちが入っていた」と評した。昨夏甲子園の今治西戦では1試合22三振を奪ったが、その時の全アウトに占める奪三振の割合は81%。この日はそれを上回る83%で、怪物の奪三振ショーは昨夏よりスケールアップしていた。

 負けたら終わりの戦いへ、本番さながらの配球も見せた。3番・山口との第3打席。初回はスライダーを左前に、4回は直球を中前に運ばれていた。1ボール1ストライクからの3球目は自己最速タイの147キロで高めのボール。4球目は今春から本格的に習得した低めのチェンジアップで幻惑して空振りを奪う。そして最後は内角低めに伝家の宝刀スライダーを投じ、空振り三振を奪った。山口は「いろいろ考えさせられて対応できなかった。タイミングをずらされた」と舌を巻いた。

 この日も巨人をはじめ7球団のスカウトが集結。楽天は9人態勢で視線を送った。巨人の山下哲治スカウト部長は「スライダーは既に1軍レベル。チェンジアップで幅が増えた」と評した。配球面の成長の裏には、一昨年12月に就任したOBの天野喜英コーチの存在がある。捕手として東海大から社会人のセガサミーに進んだ経歴を持つ。「どういう球を放らないといけないか。先読み先読みして捕手目線の投手にならないといけない」と指導を受けた。配球を考えて奪った三振。天野コーチは試合中、何度もうなずく場面があった。

 変則DH制で8回には打席に立ち、1死一塁から右中間を破る適時三塁打を放った。23日は関東第一(東東京)相手に敗戦投手になったが、それから1週間で見事な復活劇。2週間後に迫る神奈川大会初戦へ怪物がまだまだ成長を続ける。

 ▽桐光学園・松井の甲子園22奪三振 12年夏の甲子園1回戦、今治西(愛媛)戦に先発。5回までに11個。6回に初安打を許したが、1死から大会記録の8者連続を86年ぶりに塗り替える10者連続。7回以降のアウトは全て三振で奪い、夏の1試合最多奪三振記録19を大きく更新する毎回の22奪三振を記録し、2安打完封勝利。打撃でも公式戦初本塁打となる3ランを放ち、衝撃の甲子園デビューを飾った。

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2013年6月30日のニュース