故郷の応援団に応えた！大和が人生初のサヨナラ打

＜神・広＞９回裏２死一、二塁、大和はサヨナラとなる左越え適時二塁打を放ち、満面の笑みでガッツポーズ

セ・リーグ 阪神４－３広島

（6月29日 甲子園）
　一塁側アルプス席で「０」のボードが大きく揺れた。「キバレ！大和」とも書かれていた。鹿児島弁で「頑張れ」という意味だ。阪神の背番号０、大和は燃えた。同点の９回２死一、二塁。久本の内角直球を捉えた打球は、前進守備の左翼ルイスの頭上を越えた。人生初のサヨナラ打だった。

　「いやー、やっちゃいましたね。プラカードが目に入って気合が入りました。何とかいいところを見せたいと思っていた。こんなうれしいことはないな」。プロ入り８年目で初めて、故郷・鹿児島県鹿屋市から応援団がフェリーで１４時間かけて甲子園に駆けつけた。総勢７０人。両親、そして小学時代に所属した鹿屋ソフトボールスポーツ少年団の新永伸夫監督や後輩たちの姿もあった。試合前に一人一人にタオルを手渡して握手をし「やらなきゃいけない」と誓った。５回には同点のセーフティースクイズを決めた。一塁方向の絶妙な位置に転がし、一塁にヘッドスライディングして生きた。新永監督は「レギュラーになって、こんな舞台で活躍してくれるとは」と目を細めた。

　樟南で遊撃手として活躍し、３年時の夏の甲子園で８強入り。岡田監督が守備力の高さに目をつけ、０５年高校生ドラフト４巡目で阪神に入団。０７年の北京プレ五輪では日本代表に選ばれ、星野監督（現楽天監督）からも「阪神で一番守備がうまい」と高く評価されたほどだ。外野もこなして出場機会を得て課題の打撃も磨き、昨季から「２番・中堅」に定着した。

　打率・２６１ながら、得点圏では・３３３と勝負強い。この日３安打で猛打賞はリーグ３位タイの８度目。乗せたら怖い男の劇打で、チームは両リーグ最多の７度目のサヨナラ勝ちだ。３連勝で首位・巨人に１・５差とした和田監督は「（大和は）いい親孝行になったのでは」と目尻を下げた。サヨナラの虎。この日は薩摩隼人が、主役を奪った。

　◆大和（本名・前田　大和＝まえだ・やまと）１９８７年（昭６２）１１月５日、鹿児島県生まれの２５歳。樟南では１年夏と３年夏の２度甲子園に出場し３年時に８強。０５年高校生ドラフト４巡目で阪神に入団。０７年から登録名を「大和」に変更。通算３７０試合で打率．２５１、５５打点、０本塁打。１メートル７７、６２キロ。右投げ右打ち。