マー君 エースのプライド「ソフトボールに変わったら下から投げます」

[ 2013年6月13日 06:00 ]

試合前、真剣な表情で何事か語り合う楽天・田中(左)と広島・前田健

統一球問題

 日本球界が誇るエースは表情も、口調も、当然のように厳しかった。NPBによる「隠し球」。楽天・田中は「そういう体質は良くない。プレーしている選手、ファンの方々に対しても“ない”んじゃないですかね」とバッサリと斬りつけた。

 「(ボールが)変わったら変わったと言えばいい。後々、こうなるのは分かっていたんじゃないですか。隠し通せると思っていたんですかね」

 選手、そしてファンに対する裏切りともいえる行為。投手、野手とも「何かおかしい…」と疑問を抱えながら、誰もがここまで必死にプレーを続けてきた。それは田中も同じだ。「飛ぶボール」で打者有利に変わった状況下で、自己新の開幕8連勝。それだけに疑問に思う。なぜ、事前に通知してくれなかったのか。「隠しているのはちょっとね。そこしかないですよ」ともの申した。

 田中は統一球の導入そのものにも疑問を呈した。「そもそも、何で統一球にしたのか、というところから論点がずれている。国際試合に違和感なく入れるように導入したのに、飛ぶ、飛ばないの話になっている」。そして「WBCと日本の球は全然違う。触り心地も。(統一球導入は)大して意味がなかったのかな、とも思う」と断言した。

 その侍ジャパンで4番に座った巨人・阿部も、「日本がボールで論議を醸し出しているのは、凄く恥ずかしいことだと個人的には思う」と声を大にした。野球のスタンダード、世界基準とは何か。「こういうボールが飛ぶ、飛ばないと言っている時点で良くない」と阿部。自身はここまで16本塁打をマークしているが「思ったより飛ぶな、というのは感じながらやってきた」。ボールの印象をそう話し、「なぜ(明らかになるのが)今だったのか、凄く疑問の残るところ」と強調した。

 最後に田中は言った。「自分はどっちのボールでもいい。ソフトボールに変わるわけではないので。ソフトボールに変わったら、下から投げます」と田中。球界のエースのプライドが、その言葉ににじんだ。

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2013年6月13日のニュース