エルドレッド驚き延長10回V弾「ファウルだと思った」

[ 2013年6月13日 06:00 ]

<楽・広>ファンに手を振る広島のエルドレッド

交流戦 広島4-3楽天

(6月12日 Kスタ宮城)
 助っ人が一振りで広島を勝利に導いた。12日の楽天戦(Kスタ宮城)で、同点の延長10回にブラッド・エルドレッド内野手(32)が左翼ポール際に決勝4号ソロ。チームは今季最長タイとなる4連勝で、交流戦の勝率を5割に戻した。先発の大竹寛投手(30)が7回2失点と試合をつくり、接戦を競り勝った赤ヘル軍団。チーム状態は確実に上昇カーブを描いている。

 見守る者も、打った本人でさえも首をひねる不可思議な現象が起きた。同点で迎えた延長10回2死。スライダーをこん身の力で叩いたエルドレッドの大飛球は、ファウルゾーンへ。しかし打球はそこから大きくスライスがかかり、結果的に左翼ポール際へと着弾した。

 「距離は十分だと思ったが、ファウルだと思った。反対方向にボールが戻ってきたから、どうしたことだと思った」

 打った直後は打球を見守るだけだったE砲は、行方を見るうちに慌てて一塁方向へと走り始めた。信じられない現象。ともあれ、奇跡の弾道がチームに4連勝をもたらしたことだけは紛れもない事実だった。

 上空は霧がかかってはいたが、ほとんど無風。自然現象では説明しきれないからこそ、喜びよりも驚きの方が勝った。「あんな打球は見たことも、打ったこともないよ」としたが、まじめな助っ人は現象の要因を真顔で探し始めた。

 「ボールの内側をしっかりとバットの芯でとらえたから、(ゴルフの)フェードボールのような球になった…としか説明のしようがないね」

 たとえ説明不能だとしても、1点が入って、チームが勝利した事実が大きい。「状況的に非常に大きい1本だった」と最後は満面の笑みだった。

 前日11日に日本野球機構(NPB)が統一球を飛びやすく変更していたことを認めたが、エルドレッドは「去年と今年の球を比べられるほどの打席に立っていない」とした上で「しっかり打てば、去年のも今年のも飛んでいくのは間違いない」と意に介さない。1メートル96、122キロの巨体から迫力あふれる打球を飛ばすパワー自慢の男に、反発係数の調整は無縁だ。

 野村監督も助っ人のパワーに最敬礼だった。「ファウルだと思ったら、戻ってきた。外国人がああいう一発で1点を取ってくれたことが大きいね」。チーム本塁打数は12球団最少の30本。エルドレッドのたぐいまれなるパワーは非力な打線に得点力と勇気をもたらす。

 ▼広島・大竹(7回2失点。ミコライオが打たれ、ハーラートップタイの6勝目はならず)最低限の仕事ができた。何と言ってもチームが勝ったことがよかった。

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2013年6月13日のニュース