ドカベン「弁慶高校」モデル 古豪・福岡が初戦突破

[ 2012年7月8日 06:00 ]

<福岡・一関修紅>好救援を見せ、試合終了の瞬間にガッツポーズを見せる福岡・福田(右から4人目)

岩手大会1回戦 福岡3-2一関修紅

(7月7日 岩手県営)
 第94回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は7日、17大会で開幕(東東京大会は試合なし)し、既に開幕している沖縄を含む17大会で53試合が行われた。岩手大会では開幕試合で県内最多の夏10度の甲子園出場の古豪・福岡が初戦突破。85年以来27年ぶりの出場へ弾みをつけた。8日は神奈川大会が開幕。23大会で234試合が行われる。

 被災地・岩手の夏空に2度目の球音が響いた。甚大な被害が出た東日本大震災から約1年4カ月。どれだけ時間が過ぎても、今も特別な思いは消えない。「震災で被災した人のためというのもあるし、岩手を元気にしたい」。そんな思いを持つ福岡の1メートル72の小柄な左腕・福田が7回1/3を1失点の好救援。被害が大きかった被災3県の福島、宮城に先立って岩手の熱い夏が幕を開けた。

 背番号1の左腕・土屋が左手中指の爪が割れて1回1/3を1失点、わずか25球で降板するアクシデント。2回1死の2ボールから緊急登板となったが、左サイドから直球と縦横2種類のスライダーを駆使して8回までゼロを並べ、今春まで背番号1を背負った元エースの意地を見せた。3―1の9回には2死二、三塁のピンチで左前打を許したが、左翼手・小野寺が好返球で同点を阻止。チーム一丸となって6年連続初戦突破を果たした。

 1901年創部で県内最多の10度の夏の甲子園出場を誇る福岡は、バンカラ応援団でも有名。野球漫画「ドカベン」の「弁慶高校」のモデルになったとされるなど、県内外にファンは多い。甲子園出場は旧制福岡中時代に6度で、直近の甲子園出場は85年夏までさかのぼるだけに、古豪復活はOBの悲願でもある。

 同校は震災での被害はなかったが、福田は「被災されたOBの方もいるだろうし、県内最多を更新したい」と27年ぶりの甲子園出場へ意気込む。今年もそれぞれが特別な思いを胸に刻み、一投一打に魂を込める。

 ▼DeNA・欠端光則スカウト(福岡OB。80年夏の甲子園に出場)最近は私立が強くて大変だと思うけど、全力でプレーしてほしい。

 ▼弁慶高校 水島新司氏の野球漫画「ドカベン」に登場する岩手県の高校。夏の甲子園2回戦で山田太郎率いる明訓と対戦。2―2の9回に、一塁走者だった弁慶の4番・武蔵坊数馬が頭部に送球を受け、仁王立ちして併殺を阻止した。その間に二塁走者のエース義経光が捕手の山田の頭上を越える「八艘(はっそう)飛び」で生還。サヨナラ勝ちで明訓を初めて破った。

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2012年7月8日のニュース