伝説の辻走塁再現?中田激走で日本ハム10勝一番乗り

[ 2012年4月17日 06:00 ]

<西・日>5回2死一、二塁、スレッジの適時打で生還した一走・中田

パ・リーグ 日本ハム13-0西武

(4月16日 西武D)
 サヨナラ弾の次は激走だ!日本ハムの中田翔内野手(22)は16日、西武戦で初回の先制打を含む2安打2打点で2試合連続の勝利打点。5回には2死一、二塁からの右前打で、相手の守備が乱れる間に一気に一塁から生還する好走塁も見せた。チームは13安打13得点で3連勝を飾り、両リーグ10勝一番乗り。貯金を今季最多の4とした栗山野球は4番も走る。
【試合結果】

 迷いはない。二塁から三塁へ。中田が全速力で疾走していく。その視線の先では、三塁コーチャーの清水外野守備走塁コーチがぐるぐると手を回していた。緩めない。トップスピードのままで三塁を蹴ると、一直線にホームまで到達した。

 「走塁も全力でやることを考えてる。清水さんが手を回していたので(ホームへ)行った。ここというところでエラーが出てくれてよかった」

 中田が振り返るのは5回の走塁だ。2死一、二塁。スレッジの打球が一塁手・浅村のミットをはじいて右前へ転がる。一塁走者の中田は右翼手・石川が処理にもたつく間隙(かんげき)を突き、一気にホームを陥れたのだ。最初から「三塁でいい」という考えなら、本塁までは還れない。「そういうところで抜かない、ということをやってる」。高い走塁の意識が、西武を相手に伝説の走塁をよみがえらせた。

 まだ中田が生まれる前の87年、西武―巨人の日本シリーズ第6戦。一塁走者の西武・辻が中前打で、巨人・クロマティの緩慢な返球を突いて一気に本塁を陥れた。あれから25年。96年から西武で7年間プレーした清水コーチは「あれは最初から本塁を狙う気持ちがないと行けない。褒めてあげたいね」と絶賛し、25年前の日本シリーズについて「そういうこともあったね」と笑った。

 開幕から打撃不振に苦しむ中田。前日のサヨナラ弾でも完全復活とはいかない。復活へ腐心しながら、しかし、走塁も守備も怠らない。かつて走塁には苦い思い出があるからだ。09年のNPB選抜―大学日本代表のプロ・アマ交流戦で緩慢な走塁が酷評された。打つだけが野球ではない。キャンプから走塁練習も全力でやった。「打つことはもちろん走塁も守りも一生懸命やって何かしら結果を出したい」。5年目の進化。栗山監督が4番で使い続ける狙いもそこにある。指揮官は「きょうは翔(中田)が大きかった。これからの時代に求められるのは、しっかり打って守って走れる強い4番」と言った。

 初回に今季初タイムリーを放つと、選んだ3四球全てが得点に結びついた。打率はまだ・136ながら「エラーでも四球でも次につなげるのが今の僕の仕事」。チームが昨年苦手にした西口攻略の主役を務め、9回は13点目を今季2本目のタイムリーで叩き出した。西武ドームで伝説の再現。それは最強の4番への序曲だった。

 ▼西武・石川(5回に失策し、中田の生還を許す)あんなに速く走ると思わなかった。返球に焦ってしまった。

 ▽87年日本シリーズでの西武・辻の伝説の走塁 西武が巨人に対して3勝2敗と王手をかけた第6戦。2―1の8回2死から辻が左前打で出塁。続く秋山の中前打を捕球した中堅・クロマティが遊撃・川相へ山なりの返球をした隙をついて一気に本塁に生還。クロスプレーにすらならない見事な走塁を見せた。試合は3―1で西武が勝利し日本一となった。

 ≪2試合連続V打は3度目≫中田が初回1死一、二塁で適時打。今季得点圏20打席目(3四球を含む)で初の安打となった。昨季は打率・237ながら、得点圏ではパの規定打席以上で8位の・314だっただけに勝負強さを取り戻せるか。中田は15日楽天戦ではサヨナラ弾。2試合連続勝利打点は昨年6月8、9日の中日戦、6月30日ロッテ戦と7月1日西武戦に加え自身3度目となった。

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