田沢 最年少でメジャー初勝利!2回以降は零封

[ 2009年8月13日 06:00 ]

タイガース戦で、大リーグ初の先発を果たした田沢純一

 【レッドソックス7―5タイガース】レッドソックスの田沢純一投手(23)が11日(日本時間12日)、タイガース戦にメジャー初先発した。初回に3失点しながら、2回以降は無失点。人生初乱闘も経験するドタバタも乗り越えて5回3失点(自責1)で初勝利を飾った。23歳66日での先発勝利は、98年のマック鈴木(当時マリナーズ)を上回り、日本人メジャーリーガー最年少記録となる快挙となった。日本のプロを経ず、メジャーデビューした若き右腕が、大きな第1歩を踏み出した。

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 頭の中で何度も描いた本拠地フェンウェイ・パークのマウンド。5回を投げ切った田沢は、3万8000人を超える満員スタンドのスタンディングオベーションに包まれた。初の先発マウンド。それが称賛に値する投球だったことを誰もが認めていた。
 「レッドソックスに入って、いつか投げたいと思っていた。実現できて良かった」。4月のヤンキース戦を観戦して「歓声の凄さに驚いた」と声を震わせてから4カ月。本拠地で主役となったルーキー右腕は大声援に頭を下げて応えた。
 初回に味方の失策などで3失点。2回はタ軍のポーセロが先頭のユーキリスに死球を与えたことで両軍入り乱れて大乱闘となった。最後尾から、人生初の乱闘に加わった田沢は「ベンチに帰ってきたばかりだったので、何が起こったか分からなかった。びっくりしました」。並の新人なら崩れてもおかしくない状況下でも、23歳は強心臓ぶりを見せつけた。
 「直球でストライクをとりなさい」とマイナーで指導を受けてきた通りの投球。98球のうち、直球系が71球で72・4%も占めた。3失点した初回も打者9人すべてに初球で直球を投じた。対戦した23人中、変化球で入ったのはわずか3人。結果を恐れぬ投球で2回以降は無失点に切り抜けた。「僕はマイナーの経験をぶつけるしかない」と話すが、米国流の教えに少しも不安を抱かず、愚直なまでに実行できるのは容易ではない。
 どんな状況でも物事を割り切ることができるのも田沢の強みだ。メジャー初登板の7日、ヤンキース戦でサヨナラ被弾した翌日のクラブハウスでペニーと15分間も通訳を介さず談笑した。アマ時代はすべてセットからの投球だったが、5月以降はワインドアップに取り組んできた。使用しているグラブは小さく「手首の動きから球種がバレるという不安もある」と手首が隠れるポケットの深い新グラブも発注。試合には間に合わなかったが「新しいグラブだとバランスも崩れるかもしれないですからね」とどこ吹く風。「米国では短所よりも長所を伸ばす。長所を特に自覚させられます」。元来の深く悩まない性格はメジャーのシステムともマッチして、精神面はさらに強化された。
 次回登板は16日(同17日)の敵地レンジャーズ戦。左ふくらはぎ痛で戦列を離れているウェークフィールドの復帰が遅れて2勝目を手にするチャンスを得た。
 「またギリギリの戦いになると思う。すべての力を使って、少しでもチームの力になりたい」
 1年前はアマチュアの世界に身を置いていた田沢が、日本人大リーガー最年少の先発勝利を記録した。そんな“アメリカンドリーム”に一喜一憂しないのが、田沢純一という選手の最大の魅力でもある。

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2009年8月13日のニュース