パウエル オリックスを返り討ち

[ 2008年4月16日 06:00 ]

<オリックス・ソフトバンク>3回裏1死二、三塁、ラロッカの左飛で三塁走者・坂口(右)ほホームを突くもタッチアウト(捕手は的山)、カバーのパウエルは万歳

 【ソフトバンク7―3オリックス】周囲の雑音、そして汚いバ声にもパウエルは冷静さを失わなかった。かつての本拠地も今は“完全アウェー”。6回2失点で勝利投手となった助っ人右腕は「これで肩の荷が下りた。勝ってひとつのピリオドが打てた」と心の底から喜んだ。

 何の因果か、今季初登板の相手は二重契約問題でもめたオリックス。2回、カブレラと浜中にソロ2発を浴びると、右翼席のファンから痛烈なヤジが飛んだ。「ざまあみろ、パウエル!」。それでも耐えた。3回1死二、三塁でラロッカの左飛に、左翼・松中がタッチアップから本塁に突入した走者を好返球で刺すと、両手を突き上げてガッツポーズ。6回に同点2ランも放った主砲の攻守にわたる援護には「松中に助けられた」と感謝した。3回以降は立ち直り、カーブ、フォークで緩急をつけ、追加点を許さなかった。
 1カ月以上に及ぶ騒動の末、入団会見したのが3月8日。2軍で調整を続け、ようやくめぐってきたチャンスで結果を出した。昨季は右ひざ手術を経験し、白星は巨人時代の06年10月3日以来、560日ぶりとなる。
 日本では通算68勝目。だが、1メートル96の長身右腕は「自分のキャリアにとって一番大事な勝利になった」と感慨深げに語った。眠れない夜もあったが、この日が来ることを信じていた。試練を乗り越え、自分の右腕で騒動に区切りをつけた。

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2008年4月16日のニュース