3年ぶり!日本人最年長!藪に白星

[ 2008年4月16日 06:00 ]

6回から登板、2回を1安打無失点の好投で勝ち投手になった藪

 【ジャイアンツ5―4ダイヤモンドバックス】ジャイアンツの藪恵壹投手(39)が14日(日本時間15日)、3―4で迎えたダイヤモンドバックス戦の6回から2番手で登板。2回を1安打無失点の好投で味方打線の逆転を呼び込み、05年5月20日のジャイアンツ戦以来、1060日ぶりの勝利を挙げた。39歳と199日での白星は、日本人メジャーリーガーの最年長記録。苦難を乗り越えマイナー契約から必死にはい上がった男を野球の神様は見捨てなかった。

 声が弾んでいた。1060日ぶりの白星。藪は懐かしい味をかみしめるように「僕はついていましたね。これまでついていなかったから。きょうはついていましたわ」と話した。
 背水の覚悟で臨んだマウンドだった。ここまで4試合連続失点。早ければ15日に故障者リスト入りしている中継ぎ右腕チョークが復帰する。厳しい生存競争が闘争本能に火を付けた。6回1死からドルーに四球、ハンモックには左前打を許したが、続くロメロをスライダーで二飛に打ち取ると、ヤングは143キロのカットボールで中飛。続く7回は3者凡退に抑え、流れを断ち切った。するとその裏に打線が逆転。前回、アスレチックス時代の05年5月20日(対ジャイアンツ)で白星を挙げた思い出のAT&Tパークで、再び幸運な勝利が転がり込んだ。
 挫折、苦しみを乗り越えての1勝だ。05年オフにア軍から解雇された。翌年はロッキーズとマイナー契約をかわし、キャンプに参加も3月に再び解雇されメキシコに渡った。じっと耐えながらメジャー復帰を目指した。
 2年間オファーがなくてもあきらめなかった。今季は代理人を変更しジ軍とマイナー契約を結んだ。契約の際には「20数人のうち2人入れるかどうか」と厳しい現実を突きつけられたが「可能性がある限りやればいい」と開き直った。オープン戦では満足な成績を残せなかったものの、ロングリリーフができるところを買われ開幕枠入りを果たした。「今考えるとこの2年間がすべていい時間だった。必要な時間だった」と藪は言う。
 口癖は「野球場は夢がかなうところ」。この日の勝利はまさに夢がかなった瞬間だった。5日には補強運動で使用していたゴムチューブが顔面を直撃。不注意で目を負傷した。それ以来、目を疲れさせないためパソコンのメールチェックもせず、登板だけに集中した。
 ジ軍では65年9月30日のマッシー村上(村上雅則)以来となる日本人の勝利。米メディアに「村上さんは友人。勝って同じ立場になったのはうれしい」と話す顔は輝いていた。

続きを表示

2008年4月16日のニュース