【神戸FB上ノ坊駿介 単独インタビュー】リーグワン初Vのキーマン「泥くさく、ルーキーらしく」

[ 2026年5月8日 05:30 ]

キャリア初の日本一を誓った上ノ坊(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 ラグビーリーグワンで首位に立つ神戸は10日のリーグ最終節で3位の東京ベイと対戦(えどりく)する。既にプレーオフ(PO)進出を決め、悲願の初優勝を狙う今季。FB上ノ坊駿介(22=天理大)が異彩を放っている。最終学年の大学生の出場を認めるアーリーエントリーで2月7日の第7節静岡戦から11試合連続で先発し、計10トライ。新人賞の有力候補に挙がる黄金ルーキーが本紙の単独インタビューに応じた。 (取材・構成 西海 康平)

 大学を卒業したばかりとは思えない動きで、上ノ坊が強烈なインパクトを残している。天理大在学中にデビューした2月7日の静岡戦で衝撃の3トライを挙げ、以降もスタメンに名を連ねる。タレントがそろうBKの中でFBの定位置をつかみ、思い切りのいいランやパスでチームに貢献。計10トライはランキング8位につける。

 「最初の試合でうまくゲームに入ることができた。まだまだ成長しないといけないところや課題もあるけど、そこを修正しながら。もっと良いパフォーマンスにつなげたいと毎試合思っています」

 共同主将を務めた天理大で最後のシーズンを終えたのが昨年12月20日。オフや大学のテスト期間などを経て1月下旬から神戸の練習に加わった。練習試合などのプレーをレニー・ヘッドコーチ(HC)が高く評価。静岡戦は天理大の卒部式と重なり、試合後に大学へ向かった。メンバー入りが決まった際は「マジで!?」と驚いた仲間からも祝福された。

 「(アーリーエントリーから)ここまで試合に出られるとは思っていなかった。フィジカルやスピードも(大学とは)全然違ったので、最初は緊張や不安もあったけど、チームのアタックやディフェンスも分かってきた。今は純粋に楽しい」

 兵庫県三田市出身。石見智翠館高時代に高校日本代表候補に選ばれ、1学年上の兄・悠馬(現東京ベイFL)と同じ天理大に進学した。大学ではFBやSOだけでなくCTBも経験し、「いろんなポジションをやって、いろんな目線が分かった」ことからプレーの幅を広げた。U23日本代表にも名を連ね、リーグワンの9チームからオファーが届いたという。その中から神戸入りを決断した。

 「最後は凄く迷ったんですけど(これまで指導してもらった)監督さんに“神戸に行った方がいいんちゃうか?”という話をしてもらって。実家にも帰れるし、天理大も近い。地元だし、応援されやすい場所かなと思って神戸に来ました」

 三田RSに所属していた時は神戸が拠点とする灘浜グラウンドの人工芝で練習することがあり、神戸ユニバー記念競技場に試合を見に行くこともあった。小さい頃から憧れていたチームの一員となり、「みんな優しくてしゃべりやすくて、雰囲気もめちゃくちゃ好き」と愛着を抱く。

 リーグ戦も佳境を迎え、今後はプレーオフが待つ。アーリーエントリーの選手として史上初の新人賞獲得の期待も高まる中、「一つ一つのプレーの精度を高めて、日本一に貢献できるように。泥くさく、ルーキーらしく頑張りたい」と思いを口にした。その先には、自身の理想も描く。

 「海外でプレーしてみたいという思いもあるし、そこから帰ってきて、スンシン(李承信)さんのような“神戸といえばこの選手”みたいになれたらと思っています」

 社員選手ではなくプロ契約で神戸に加入。現在の活躍が認められれば日本代表入り、その先につながる来年のW杯オーストラリア大会出場にも期待は膨らむ。22歳は無限の可能性を秘めている。

 ▼アーリーエントリー 大学のチームに所属している最終学年の選手または大学院に所属する選手が、手続きと一定の条件を満たすことで、4月以降の所属が内定しているチームでリーグワンの公式戦に試合エントリーできる制度。大学選手権終了以降に限られ、今季は最短で1月17日以降から出場が可能だった。

≪レニーHCも絶賛≫

 〇…今季終了後に母国のニュジーランド代表・オールブラックスのヘッドコーチ(HC)就任が決まっているレニーHC。任期は27年W杯までだ。神戸で3季指揮を執る指揮官も上ノ坊を高く評価する一人。「(リーグワン全体で)今年、大学を卒業したアーリーエントリーの選手の中でダントツのNo.1」と評価し、「ハイボールキャッチやアンストラクチャーな状況でアタックする能力が素晴らしい」と絶賛した。

≪上ノ坊アラカルト≫

 ☆生まれとサイズ 2003年(平15)9月29日生まれ、兵庫県三田市出身の22歳。1メートル83、88キロ。家族は両親と兄、弟。

 ☆きっかけ 神戸WTB浜野隼大と母同士に親交があり浜野の母から誘われて3歳から三田RSでラグビーを始める。当初は「泣きながら“帰りたい”と言っていた」。

 ☆経歴 三田RSでラグビーをしながら中学ではサッカー部にも所属。石見智翠館高に進み、憧れていた天理大へ。神戸にプロ契約で加入。

 ☆上ノ坊姓 名字由来netによると、上ノ坊の全国人数は約220人。「知らない人で会ったことがない」。

 ☆名前の由来 兄・悠馬(ゆうま)、弟・友騎(ともき、天理大2年)とそろって名前に「馬」が入っている。両親が寺社で相談して兄の名前が決まり、その後に「全員に“馬”が入っていれば面白い」となった。

 ☆ニックネーム シュン、シュンスケ、ボー、ボーちゃん、ウエンボウなど。

 ☆趣味 買い物、温泉巡り。

≪神戸は最終節残して首位!既にPO進出決定≫

 神戸はリーグ最終節を残して首位に立ち、既にPO進出を決めている。今季はレニーHCが指揮を執って3季目で、ニュージーランド代表No・8サベアや同CTBレイナートブラウンらの加入で戦力に厚みが増した。
 開幕戦こそ東京ベイに28―33で競り負けたが、続く三重戦で今季初勝利を収めると、波に乗って10連勝。第12節横浜戦に敗れたものの、静岡戦から5連勝を飾った。元ニュージーランド代表LOレタリックがリーグトップの17トライを挙げるなど攻守で躍動する。

 1位もしくは2位でリーグ戦を終えれば、POは準決勝からの登場になる。準々決勝はリーグ戦の「3位―6位」が23日に、「4位―5位」が24日に激突。準決勝は30、31日に、決勝は6月7日、3位決定戦は同6日に行われる。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

スポーツの2026年5月8日のニュース