やり投げ 遅咲きの29歳・崎山雄太 狙うは“師匠”超えの銅メダル以上「村上幸史さんを超えたい」

[ 2025年9月10日 05:00 ]

13日開幕世界陸上 注目選手紹介(中)

<陸上日本選手権第2日>男子やり投げ、優勝を果たし、世界陸上出場権を得た崎山(撮影・木村 揚輔)
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 陸上の世界選手権東京大会は13日に国立競技場で開幕する。注目選手紹介の2回目は男子やり投げの崎山雄太(29=愛媛競技力本部)。7月の日本選手権でマークした日本歴代2位の87メートル16は今季世界ランク5位でメダル候補に急浮上した。遅咲きの29歳は日大の先輩でもある09年銅メダルの村上幸史以来日本人2人目の表彰台を狙っている。

 崎山が卒業した関西創価高には「崎山ファンクラブ」が存在した。当時はまだ世界に出るような実力はなくても、陽気なキャラで、顔は人気ダンス&ボーカルグループのEXILE系。「そういえば昔、本人も“1学年下に自分のファンクラブがある”と言っていました」。関西創価小、中、高の4学年先輩で、現在は同高陸上部顧問を務める棚橋秀之さん(33)は笑う。

 初優勝した7月5日の日本選手権では、36年破られていない溝口和洋の日本記録(87メートル60)まであと44センチに迫るビッグスローを見せた。29歳にして自己ベストを一気に3メートル41更新。87メートル16は23年世界選手権で銅メダルに相当する好記録だった。

 その崎山がやり投げと出合ったのが高1の時。体育の授業で「ジャベリックスロー」(羽根つきの投てき物を投げる競技)があり、投げてみると思いのほか飛び「これだ!」とひらめいた。

 小学校で野球、中学校で入学当初は陸上部に入りながら、数カ月後にはサッカー部へと転部した。短距離種目をしていた姉の影響を受け、高校で再び陸上部へ。最初は走り幅跳びをしていた。当時は身長が1メートル60程度で線も細く「やり投げをやります」という申し出に、指導していた陸上部顧問の荻間栄二さん(64)は「その体では無理だろう」と思ったという。だが、きゃしゃな体から投じられたやりは飛距離が出て「これなら…」と種目の転向を認めた。

 「とにかく運動能力がずばぬけていた。ジャンプ力も凄かった」と荻間さん。少しずつ頭角を現し、高2の秋に初めての全国大会となる日本ユース選手権に出場して9位となった。「めちゃくちゃポジティブな人間で、その頃から“日本記録を出す”とか高い目標を掲げていた」と棚橋さんは言う。高校時代は全国で結果を残すまでには至らなかったが、日大に進学してからは体も大きくなり、記録を伸ばした。

 だが、左アキレス腱痛など度重なるケガに泣かされてきた。初出場した23年の世界選手権はファウルが続き記録なしで予選敗退。大会直後に右すねの疲労骨折が判明した。

 2度目となる大舞台へ、現在も教えを請う“師匠”の名前を出して明確な目標を口にする。「“日本人でもやれるんだぞ”というのはずっと思っている。村上幸史さんを超えたいので、銅メダル以上を獲りたい」。戦う場所は日本選手権と同じ国立。表彰台に立つため、再び大きな放物線を描く。 (西海 康平)

 ◇崎山 雄太(さきやま・ゆうた)1996年(平8)4月5日生まれ、奈良県出身の29歳。関西創価小、中、高を経て日大に進学。卒業後は村上幸史らを育てた浜元一馬さんの指導を仰ぐ。今年5月のアジア選手権は83メートル75で銅メダル。身長1メートル78。

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