琴勝峰 史上5番目“低地位”15枚目からの下剋上V「実感が湧いていない」刺激になった弟の新入幕

[ 2025年7月28日 04:30 ]

大相撲名古屋場所千秋楽 ( 2025年7月27日    IGアリーナ )

 大相撲名古屋場所で初優勝を果たし、琴桜(右)と琴栄峰(左)に祝福される琴勝峰=27日午後6時11分、IGアリーナで(代表撮影)
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 平幕・琴勝峰(25=佐渡ケ嶽部屋)が1差で追っていた安青錦を突き落としで下し、初優勝を果たした。平幕優勝は昨年春場所の尊富士以来37人目(38回目)で、東前頭15枚目での優勝は史上5番目に低い地位。大関、横綱候補と期待されてきた大器の才能がようやく開花し、新会場IGアリーナの優勝第1号となった。

 琴勝峰は初めて賜杯を抱いても表情を崩さなかった。「実感が湧いていない。終わってホッとした」。静かに喜びをかみ締めた姿に大物感が漂っていた。

 勝てば優勝、負ければ優勝決定戦となる安青錦戦。立ち合いから大きく踏み込み、右を差した。低い姿勢の安青錦を左からいなして突き落とした。「ビビらないように思い切っていった」。重圧にも負けず、初の10連勝で締めくくった。

 1メートル90、167キロ。入門当時から期待の大器だった。強豪の埼玉栄高相撲部出身。豪栄道らを指導した山田道紀監督(59)は「ものが違う。埼玉栄高でも歴代トップクラス」と話す。20歳で新十両、21歳で東前頭3枚目まで番付を上げた。だが、抜群の馬力を誇る一方で故障が重なり、2度の十両転落も経験するなど苦しんだ。

 23年初場所の千秋楽相星決戦では貴景勝に敗れた。「前回の経験を生かして力みすぎないように。考えすぎても仕方ない」。負傷していた足首の状態が良くなり、当時の場所前に取り組んでいた体幹トレーニングを今場所前に再開した。場所前には右太腿肉離れを発症したが、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「下がると、またケガするというのが頭の中にあるから、攻める相撲が取れている」と評価。ケガの功名だった。

 弟の新入幕・琴栄峰の存在が尻に火をつけた。「刺激になっている」。先場所は右大腿二頭筋肉離れで初日から休場したが「出たいです」と志願し、途中出場で5連勝を含む6勝を挙げた。佐渡ケ嶽親方は「全休すれば(幕内から)落ちてしまう。琴栄峰に(番付で)抜かれてしまう。それが一番の薬だったんじゃないかと思う」。毎日隣同士で、ご飯を食べ、会話はないものの、出かけるときは一緒。“距離感”は入門してから変わらないという。

 入門から46場所目で悲願の賜杯。「光栄なこと。良い状態で臨めたので良かった」と新会場の優勝第1号となった。「今後は上に上に。三役、その先を見据えてやっていく」。同学年の豊昇龍や尊富士らから刺激を受ける寡黙な25歳が、ようやく大器の片りんを見せた。 (中村 和也)

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