エビアンでも日本勢の優勝争い確信 メジャー制覇は「夢」から「現実的な目標」に

[ 2025年7月10日 14:30 ]

<エビアン選手権最終日>優勝トロフィーを手に笑顔を見せる古江(AP)
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 【福永稔彦のアンプレアブル】女子ゴルフのエビアン選手権が開幕した。シェブロン選手権では西郷真央がメジャー初優勝を飾り、全米女子オープンでは竹田麗央が2位に食い込み、全米女子プロでは岩井千怜が4位に入った。フランスで開催されるメジャー第4戦でも日本勢が優勝争いに加わることは間違いないだろう。

 今季、史上最多の13人が本格参戦している日本勢は開幕から17試合連続でトップ10入りを果たし、既に3人の優勝者を生み出している。驚異的な快進撃は決して偶然の産物ではない。

 11年に就任した小林浩美・日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)会長は、米ツアーで戦った自身の経験も踏まえ、海外で活躍できる選手を育成するためツアー改革に取り組んできた。従来女子ツアーは3日間大会が多かったが、大半の試合が4日間開催の米ツアーを意識し、スポンサーと折衝を重ねて4日間大会を増やしてきた。

 また通常の大会ではバーディーが取りやすいコースセッティングを奨励。米ツアーでは珍しくない通算20アンダーを超えるバーディー合戦に適応できるように舞台を整えた。

 一方でメジャー大会などではラフを伸ばし、グリーンを固く速くし、パープレーで回ることさえ容易ではない難易度の高いセッティングを施した。山下美夢有、竹田らはこうした環境で力を培ってきたからこそ、本格参戦初年度から日米のギャップに戸惑うことなくプレーできているわけだ。

 日本ゴルフ協会(JGA)が続けてきた選手育成も成果を上げている。15年には、オーストラリアのナショナルチームで指導経験を持つガレス・ジョーンズ氏をナショナルチームのヘッドコーチに招へいした。英国出身のジョーンズ氏の指導は技術面に止まらない。

 足の裏でグリーンの傾斜を測る「エイムポイント」、最後に簡単なパットを打つためにグリーンから逆算してショットを組み立てるコースマネジメントなど、目からうろこが落ちるようなものばかり。その教えは畑岡奈紗や古江彩佳らの血肉となり、プロ転向後の活躍も支えている。

 現在米ツアーに参戦している日本勢には、元世界ランク1位の宮里藍さんに憧れてゴルフを始めた選手が多い。宮里さんが米ツアーで勝つ姿を見て育ったから海外挑戦にはためらいがなかった。ただメジャーは特別。そこで勝つとなると少しハードルが高かった。

 そのハードルをぶっ壊したのが、スポット参戦した19年全英女子オープンで優勝した渋野日向子だった。前年プロテストに合格したばかりで海外ツアーの経験もない20歳が、日本人として42年ぶりのメジャー制覇という快挙を成し遂げたのだからインパクトは大きかった。「日本人でもメジャーで勝てる」という意識が一気に浸透した。

 さらに2年後の21年全米女子オープンでは、日本勢同士のプレーオフが実現。19歳の笹生優花が、3ホールに及ぶの死闘の末に畑岡を破り、史上最年少優勝を果たした。日本選手にとってメジャー制覇は「夢」から「現実的な目標」に変わった。

 8年前、エビアンを訪れた。17年この大会で現役を引退する宮里さんの最後のプレーを取材するためだった。山腹にあるエビアン・リゾートGCは眼下にレマン湖を望み、対岸にはスイス・ジュネーブの町並みが見える。世界屈指と言っても過言ではない、実に美しいコースだった。

 1年前、その風光明媚(ふうこうめいび)な地で古江がメジャーチャンピオンになる栄誉に浴した。日の丸を肩に掛けてトロフィーを抱いた姿を鮮明に覚えている。今年も同じような光景が見られると確信している。(スポーツ部専門委員)
 

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