戦後初の「身長1メートル50台力士」誕生へ 5年前白鵬杯で話題の元村康誠「大相撲に行くのが夢だった」

[ 2024年4月20日 04:15 ]

 大相撲夏場所の新弟子2次検査を通過した元村康誠(左)と秀ノ山親方=19日、両国国技館
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 大相撲夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)の新弟子2次検査が19日、両国国技館で行われた。身長1メートル67、体重67キロの体格基準に満たない者が受検する運動能力テストが12年ぶりに復活。身長1メートル59.5、体重67.6キロの元村康誠(15=佐渡ケ嶽部屋)が受検し、50メートル走や立ち幅跳びなどの計7種目で合格点を満たした。5月2日に実施する内臓検査も通れば、戦後初の「身長1メートル50台力士」誕生となる。

 5年前に一躍“時の人”となった元村。白鵬杯で自身より2倍以上重い選手を大熱戦の末に破った動画がネット上で拡散され、大きな注目を集めた。その頃に当時現役だった秀ノ山親方(元大関・琴奨菊)からスカウトされた。中学3年間で20センチ伸びた身長は合格基準に届かなかったが、昨年9月に新弟子検査の体格基準が撤廃されて入門を決意。力士人生の第一歩を踏み出し「大相撲に行くのが夢だった。体をつくって勝ちたい」と希望を抱いた。

 検査を見届けた高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は「小さい人が大きい人を倒せば盛り上がる。小さくても強くなれると見せてもらえれば今後にもつながる。身体能力が高くて楽しみ」と期待を込めた。入門者数が年々減少する昨今。小さな15歳の挑戦が、角界に大きな希望をもたらす。 (前川 晋作)

 ◇元村 康誠(もとむら・こうせい)2008年(平20)8月14日生まれ、佐賀県武雄市出身の15歳。北方相撲クラブで小2から相撲を始め、小4で白鵬杯技能賞。その時の取組動画がSNSで拡散され、テレビでも取り上げられるなど大きな話題を呼んだ。昨年8月、全中団体戦8強。北方中卒業後、佐渡ケ嶽部屋に入門。参考にしている小兵力士は炎鵬。

 ▽新弟子検査の体格基準 1932年初場所から、1メートル73、75キロ以上と明文化。当初はあいまいで、1941年夏場所で身長1メートル57ながら合格した鳳龍という力士もいた。戦後は厳格化され、1メートル69の舞の海のように身長が足りず頭にシリコーンを入れる者も現れた。01年から「2次検査」が新設され、基準未満でも1メートル67、67キロ以上なら受検可能に。1メートル68の豊ノ島が2次検査出身初の関取となった。12年夏場所からは、基準が1メートル67、67キロ以上に引き下げられ2次検査は廃止。昨年9月にさらに緩和され、基準未満の者向けの2次検査が復活して体格基準は撤廃された。現役最小兵力士は、1メートル63.5の序二段・爆羅騎。12年12月の新弟子検査時には背伸びして合格していた。

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