ラグビー京産大 最強留学生が心身ともに成長させてくれた母校を日本一へ導く

[ 2023年12月21日 07:00 ]

京産大ラグビー部の(左から)フナキ、ポルテレ、ポレオ、タモエフォラウ(撮影・中辻 颯太)
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 関西大学ラグビーAリーグで同校初の3連覇を飾った京産大が、全国大学選手権で初の日本一に挑む。初戦となる23日の準々決勝は、ヨドコウ桜スタジアム(大阪市)で早大と激突。FWリーダーを務めるプロップのヴェア・タモエフォラウ(4年=札幌山の手)、突破力が光るNo・8シオネ・ポルテレ(2年=目黒学院)ら最強留学生がひたむきに戦う集団を勝利に導く。(取材・構成 西海 康平)

 大柄な4人が並ぶと、その存在感は圧倒的だ。最終学年を迎えたタモエフォラウとNo・8テビタ・ポレオ(4年=日本航空石川)、そしてロックのソロモネ・フナキ(3年=目黒学院)とNo・8ポルテレの留学生たち。リーダー格のタモエフォラウは「関西リーグの最終戦(天理大戦)では京産大らしさを出せた。大学選手権でも、京産大らしいセットプレーを見せたい」と意気込む。

 それぞれ他大学からの誘いもありながら、京産大で輝く姿を思い描いて関西へとやってきた。タモエフォラウは1年時、あまりの練習の苦しさに「辞めたい」と思うことも多かった。コロナ禍で活動が制限されたこともあり、一時は体重が150キロを超えることもあったが、過酷なトレーニングをこなして減量。今季は自ら志願して3列目からプロップに転向し、スクラムで強さを示してきた。

 昨季はWTBとしてリーグ2位の9トライを挙げたポルテレはFWへポジションを変えた。ボールに触れる回数は増え、天理大戦の後半には相手をなぎ倒す突進で観衆を沸かせ、劇的な逆転勝ちにつなげた。1年前の大学選手権準決勝、早大戦は33―34で惜敗。あの悔しさは今も胸に秘めており「もう負けたくない。引っ張ってくれている三木主将を日本一の主将にしたい」と決意を口にする。

 「強くなるために(京産大という)きつい道を選んだ。その道を乗り越えたら強くなれるから」と語るのはフナキ。ルーキーイヤーから活躍し、昨年度の早大戦も経験したとあって「同じ相手に2回負けたら恥ずかしい。(1年前の)悔しい思いを全部ぶつけたい」と意気込む。最終学年となって出場機会をつかんだポレオも「2年、3年の時は試合に出られずつらかったけど、頑張ってきて良かった。4年生として、後輩に良い姿を見せたい」と言葉に力を込めた。

 日本人にはないパワーを兼ね備え、かつ京産大で心身ともに成長してきた留学生たち。リベンジ、そしてその先につながる日本一へ――。仲間たちと心を一つにして戦う。


 《上村主務はじめスタッフも完全燃焼》後方からチームを支える3人にとっても、大学選手権が集大成となる。主務の上村文彦(4年=報徳学園)はSOとしてプレーしていたが、昨年6月に首を負傷。リハビリを続けていた中で、広瀬佳司監督から転身を打診された。当初は選手と兼任する選択肢もあったが「中途半端になる」と主務に専念。提出書類の整備や部内外との調整など仕事は多岐にわたる。

 マネジャーの竹田生奈(4年=プール学院)と奥村虹心(4年=膳所)も幅広くチームをサポートしている。練習時の給水や撮影、軽度の負傷に対する応急処置、広報や会計、チケットの手配。大変な時もある一方、一緒になって勝利を手にした感動は大きく「天理大戦は、京産大ラグビー部、そしてラグビーをまた好きになった試合だった」と竹田は振り返る。

 大学選手権の初戦を前に、3人は言葉に力を込めた。「後悔せずに終わってほしい」(上村)、「みんなの努力が実ってほしい」(竹田)、「終わった時にみんなが良い顔をしていてくれたら」(奥村)。選手とともに日本一を懸けた舞台で完全燃焼する。

 ▽京産大ラグビー部 1965年(昭40)の大学開学とともに創部。大西健元監督が73年に就任し、74年にAリーグ昇格。同氏が指揮を執った47シーズンで、関西リーグを4度制覇(90、94、97、98年度)。21年度から元日本代表の広瀬佳司監督が就任し、3年連続のリーグ優勝。全国大学選手権には82年度に初出場し、今年度で37度目の出場。最高成績は4強(83、85、90、93、94、97、06、21、22年度)。主なOBは、世界殿堂入りを果たした大畑大介、元日本代表の吉田明、田中史朗ら。

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