【MGC男子】諏訪利成氏の目「勝負に徹した。まだ余力ある」小山の冷静さ　川内＆堀尾の走りで大白熱

優勝でパリ五輪を決め、ガッツポーズする小山（撮影・木村　揚輔）
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　上位2人が24年パリ五輪切符を獲得するマラソングランドチャンピオンシップ（MGC）が15日、東京・国立競技場発着のコースで行われ、男子は27歳の小山直城（ホンダ）が2時間8分57秒で制し、2位には赤崎暁（九電工）が2時間9分06秒で続いた。小山、赤崎の2人が五輪切符を獲得し、3位に大迫傑（ナイキ）、4位には大逃げを打った川内優輝（AD損保）が入った。アテネ五輪男子マラソン6位入賞で上武大駅伝部監督の諏訪利成氏がレースを解説した。

　五輪内定の小山、赤崎は冷静だった。最後7人の争いで余裕があり、2人とも1度も前に出ていない。無駄な力を最後まで使っていなかった。ペースが上がっても誰かの後ろにつく。勝負に徹した走りだった。
　小山は最後4キロで出た。おそらくスパートしたというより、ペースを上げて集団を絞りにかかった。思ったよりも誰もついてこなかった。もう1段階ギアを持っていたと見る。力は出し切ったというより、勝った、という感じ。全部出したわけでなく、まだ余力を残していた。
　レースをつくったのは川内だった。雨のレースで慎重になると思ったが、川内がそうならないように展開した。あそこまで逃げを打ち、追いつかれた後も集団に残ったのは力がある選手でないとできない。終盤の集団の追い上げは、引っ張った堀尾謙介（九電工）がいたからこその展開。

　大迫は何もせずに終わった印象だった。30キロすぎに一度は集団をけん引したが、最終的に堀尾が引き継いだ。勝負に徹することなく、レースを動かすことはなかった。

　2時間0分台に突入した世界記録と比べると厳しいが、勝負強さが問われるのが五輪。速い選手が勝つなら、ペースーメーカーがいないMGCは必要ない。小山も赤崎も、この経験が五輪に生かされる。自己ベストはおのずと出る。記録だけではなく勝負、勝ち方にこだわってほしい。