岡山のスーパー中学生・ドルーリー朱瑛里 17人抜き区間新! カナダ出身の父持つ陸上界の新ヒロイン

[ 2023年1月16日 04:40 ]

陸上・第41回全国都道府県対抗女子駅伝 ( 2023年1月15日    京都市・たけびしスタジアム京都発着 )

驚異の区間新を達成した岡山・ドルーリー・朱瑛里は大勢の報道陣に囲まれ戸惑った表情(撮影・井垣 忠夫)
Photo By スポニチ

 岡山のドルーリー朱瑛里(しぇり、15=鶴山中)が3区(3キロ)で出場し、区間新記録となる9分2秒をマークした。38位でたすきを受けてから次々と選手をかわし、17人抜きの快走。初めての舞台で大きなインパクトを残した。大阪が2時間15分48秒で8年ぶり4度目の優勝し、最終9区(10キロ)の松田瑞生(27=ダイハツ)が区間賞。京都が2位、福岡が3位だった。

 都大路にスーパー中学生が現れた。38位でたすきを受けたドルーリーは、序盤からアクセル全開で次々と選手をかわしていく。最初の1キロを2分55秒で通過。目標に掲げた8分台には届かなかったが、わずか3キロで17人抜きという異次元の走りを見せた。

 「今日まで調子がどんどん上がってきていたので、自分の感覚を信じて走りました。本格的な駅伝は初めて。(17人抜きは)とてもうれしかったです」

 レース後は初々しい表情で声を弾ませた。これまでの区間記録だった第31回大会の高松望ムセンビ(大阪薫英女学院中)の9分10秒を8秒縮め、不破聖衣来(大類中)が第36回大会でマークした9分14秒も上回った。

 カナダ出身の父、日本人の母の間に生まれ「走るのが好きだったから」と小学4年で陸上を始めた。中学に入ってから頭角を現したが、昨年大会は貧血によって出場を逃した。その後、食事面から改善し、バランス良く栄養補給。鶴山中では陸上部の女子部員が1学年1人ずつの3人しかいない中、主将を担い、練習メニューも自分自身で考えて取り組んできた。

 昨年8月の全国中学校体育大会で1500メートルを、10月のU16大会で1000メートルを制覇。初出場となった今大会でも強烈なインパクトを残し、将来が有望な中高生に贈られる「未来くん賞」を受賞した。シドニー五輪女子マラソン7位で、岡山県チームの監督を務めた天満屋の山口衛里ヘッドコーチも「(周りと)走りが全然違う。中学生の走りじゃない」と賛辞を惜しまない。

 今後は五輪出場などへの夢が膨らむが、目標は「高校に行ってインターハイに出場して、少しでも活躍すること」と目の前を見つめた。昨年末の全国高校駅伝男子では倉敷が、今年度の全国高校サッカー選手権では岡山学芸館が優勝した。スポーツ界で旋風を巻き起こす地から、陸上界のニューヒロイン候補が誕生した。

 【ドルーリー朱瑛里(しぇり)】
 ☆生年月日とサイズ 2007年(平19)11月16日生まれ、岡山県津山市出身。カナダ出身の父、日本人の母の間に生まれる。身長1メートル57。

 ☆競技歴 小学4年時に陸上クラブの津山ジュニアに加入。当初は短距離中心だったが、小4の終わり頃にリレーマラソン大会の練習をしていた際に才能を見込まれ中長距離を走るようになった。現在は400メートルから3000メートルまでをこなす。

 ☆憧れ 東京五輪1500メートル8位入賞の田中希実(豊田自動織機)が大好き。「ラストスパートと、努力しているところが凄い」。

 ☆特技 美術が得意。水彩画が岡山県のコンクールで表彰されたことがある。

 【駅伝ごぼう抜きアラカルト】☆都道府県対抗男子駅伝 97年に進藤吉紀(秋田)が3区(9・2キロ)で30人抜きして12位。

 ☆都道府県対抗女子駅伝 07年に湯田友美(愛知)、09年に小林祐梨子(兵庫)が2区(4キロ)で記録した29人抜きが大会最多。

 ☆ニューイヤー駅伝 04年に小島忠幸(旭化成)と上岡宏次(日産自動車)がともに2区(22キロ)で20人抜きの快走。

 ☆箱根駅伝 09年にギタウ・ダニエル(日大)が、2区(23・2キロ)で22位から20人抜きで大会最多を記録した。

 ☆全国高校女子駅伝 06年に小林祐梨子(須磨学園)が2区(4・0975キロ)で20人抜き。15年にはケニア人留学生のヘレン・エカラレ(仙台育英)が2区で29人抜き。翌16年も同じ2区で27人抜きした。

 ≪「M―1」も高校サッカーも!岡山旋風≫昨年末から続く岡山旋風が止まらない。口火を切ったのは、昨年12月の漫才日本一決定戦「M―1グランプリ」で王者に輝いたウエストランドで、コンビの河本太と井口浩之はともに岡山県津山市出身。続いて昨年末の全国高校駅伝で男子は倉敷高が大会新記録をマークして優勝した。年明けの全国高校サッカー選手権では、岡山学芸館が県勢初優勝を果たした。

続きを表示

2023年1月16日のニュース