井戸木鴻樹＆新井貴浩のゴルフ化学変化①　1Wの曲がりを抑える方法

[ 2022年4月8日 12:00 ]

　13年全米シニアプロ選手権優勝の輝かしい実績を誇る井戸木鴻樹プロと、プロ野球の広島、阪神で活躍した新井貴浩氏（本紙評論家）によるラウンドレッスンを今週からお届けします。ゴルフ歴4年でベストスコアが87という新井氏が、メジャーチャンピオンから上達のエッセンスを学び、スコアアップを目指します。アベレージクラスのゴルファーにも非常に参考になる話ばかりです。第1回は1Wの曲がりを抑えるコツがテーマ。進行役はティーチングプロのジミー常住氏が務めます。【動画で見る・井戸木鴻樹＆新井貴浩のゴルフ化学変化①】

　常住　新井さんは1Wで大きくスライスしたり、チーピンが出てしまうのが悩みとか？

　新井　そうなんです。スピン量が多いせいか、いまひとつ距離も出ません。

　常住　何球か打ってみて、井戸木プロに診断してもらいましょう。

　井戸木　スイングは悪くないし、出球の初速もかなり速いですね。とてもベストスコアが87には見えませんよ（笑）。ただ、ダウンスイングで上体がかぶっているので、外から、しかも上からクラブが下りています。スピン量が多いのも、その軌道が原因でしょう。

　新井　自分でも外からクラブが下りてくるのが分かります。カット打ちなんですよね。

　井戸木　上体が正面を向いた形でインパクトを迎えることができれば、ラインも出てくるし、スピン量も減りますよ。ドリルとしては、グリップエンドをヘソに付けた形で素振りをしてみましょう。シャフトの部分を握ることになりますが、体と腕を一緒に動かすイメージでスイングします。

　常住　どのような点に注意するといいですか？

　井戸木　ヘッドが右腰の高さに上がったときはフェース面が正面を、インパクトでは目標を、フォロースルーでヘッドが左腰の高さに上がったときには背中側を向くように振りましょう。

　新井　これだと外からクラブが下りてくることもなくなりますね。

　井戸木　スイング軌道の感覚が分かったら、普通にクラブを持ってスイングしましょう。腕と肩の三角形を崩さずに右腰の高さまでヘッドを上げたら、両手を上に上げてトップ・オブ・スイングをつくります。ダウンスイングでは両手を右腰まで下ろし、バックスイングと同じ形を作ります。そこから体を回して、上体が正面を向いたところでインパクト。フォロースルーでヘッドが左腰の高さにきたら両手を上に上げてフィニッシをつくります。

　新井　自分のようにダウンスイングで上体がかぶってしまうタイプが、インパクトで上体を正面に向けるには、結構我慢しないとダメですね。

　井戸木　それでは打つボールの右斜め上と左斜め下に別のボールを置きましょう。そのボールにヘッドを当てずに、インサイドアウトの軌道でクラブを振ります。

　新井　あっ、左斜め下のボールも打ってしまいました。

　井戸木　カット打ちの証拠です（笑）。慣れるまで大変かもしれませんが、しばらくこの練習を続けてみましょう。あと、新井さんは左手のグリップがウイーク気味なので、スクエアに握ることをお勧めします。自分から見て左手のナックルが2つぐらい見えるのが理想です。おそらく今は1つも見えてないと思います。

　新井　確かにナックルは見えないですね。

　井戸木　ボールがつかまってきたら、少し戻しても構いませんが、スクエアグリップでインサイドアウトの軌道で打てば、ボールもつかまるし、スピン量も減るので飛距離も伸びてきますよ。

　（取材協力＝兵庫・小野東洋ゴルフ倶楽部）

　◆井戸木　鴻樹（いどき・こうき）1961年（昭36）11月2日生まれ、大阪府出身の60歳。豊川中（茨木市）3年時に日本ジュニア優勝。中学卒業後に研修生となり82年プロテスト合格。93年新潟オープンなどツアー2勝。ショットの精度に定評があり、01年以降7度フェアウエーキープ率1位となる。〝元祖日本一曲がらない男〟。13年全米プロシニア選手権で優勝し、日本男子初のメジャー覇者に輝く。

　◆新井　貴浩（あらい・たかひろ）1977年（昭52）1月30日生まれ、広島市出身の45歳。広島工高―駒大を経て98年ドラフト6位で広島入団。05年に43本塁打で本塁打王。08年阪神移籍。11年に93打点で打点王。15年広島復帰。16年に通算2000本安打、通算300本塁打をマークしリーグVに貢献。MVPに輝く。日本代表の侍JAPANでも活躍。18年引退後にゴルフを始めベストスコアは87。

　◆ジミー・常住　本名・常住治臣（つねずみ・はるおみ）1981年（昭56）12月15日生まれ、東京都出身の40歳。日本プロゴルフ協会（PGA）会員。