歩夢 人類初の超大技「トリプルコーク1440」決めた、直後に転倒5位も主役

[ 2021年12月21日 05:30 ]

スノーボード冬季デュー・ツアー最終日 ( 2021年12月19日    米コロラド州コッパーマウンテン )

男子準決勝5位の平野歩夢(AP)
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 スーパーパイプ(ハーフパイプに相当)決勝で、冬季五輪2大会連続銀メダルの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が、斜め軸に縦3回転、横4回転する超大技「トリプルコーク1440」を決めた。その後の転倒で得点は伸びず5位にとどまったが、国際スキー連盟(FIS)非公認ながら公式戦では世界初の成功者に。来年2月の北京五輪での金メダル獲得へ、一気に期待が高まった。昨季世界王者の戸塚優斗(20=ヨネックス)が優勝、平野流佳(19=太成学院大)が3位に入った。

 平野歩が人類未到の域へと足を踏み入れた。1回目に86・75点をマーク。迎えた最後の3回目。95・50点の戸塚を逆転するのは厳しい状況で、北京五輪へ向けて温めてきた超大技を解禁した。パイプに入ってスピードに乗ると、最初のトリックでトリプルコーク1440に成功。現地実況も「レリゴー!」と絶叫するほど、会場は興奮のるつぼと化した。

 やや着地が乱れて減速した影響か、2つ目のトリック後に転倒。得点は伸びなかったが、初の成功者として歴史に名を刻んだ。昨季は無敗で今季初優勝の戸塚から、主役を奪うほどの衝撃ぶり。その年下の世界王者が「クレージー。(今後)僕も決めたい」とうらやましがるほどだった。

 五輪初登場が98年長野大会と比較的歴史の浅いスノーボード競技は、今も技術革新が著しい。18年平昌大会時の縦回転は2回(ダブルコーク)止まりだったが、戸塚や平野流らも「トリプルコークを入れないと北京五輪は勝てない」と口をそろえる。加えて5、6つのトリックを連続してメークすることが必須のハーフパイプ。五輪で勝つために超大技を取り入れつつ、最後まで滑り切るための技術と体力が必要となる。

 とはいえスケートボードで出場した東京五輪閉幕から、まだ4カ月あまり。本人が「時間との闘い」と焦りを感じていた中で、「難易度がマックスのレベルに到達している」という技に成功したことは驚異的ですらある。15歳でのメダル獲得、そしてスケボーとの二刀流で世界を驚かせてきた平野歩。北京でも人々の想像の斜め上を行く結末を見せてくれるに違いない。

 ▽スノーボード・ハーフパイプ(HP)北京五輪への道 代表枠は男女各4。直近2シーズンの世界選手権やW杯で12位以上に入った選手の中から、成績上位者を来年1月中旬に選出する。男子は戸塚、平野歩、平野流、片山来夢の4人がすでに満たした。HPのW杯は来年1月初旬の米マンモスマウンテンと同中旬のスイス・ラークスでの2戦を残しており、その後に代表が発表される。

 ▽トリプルコーク1440 斜め軸に縦3回転、横4回転する高難度の技。HPでは平野歩ら日本勢が今年10月にスイスで行った合宿で成功させ、海外勢も追随するとみられている。18年平昌五輪では平野歩とショーン・ホワイト(米国)が成功させた1440の連続技が最高難度とされていた。滑降でHPよりもスピードがつくスロープスタイル(SS)やビッグエア(BA)の男子では、すでにクワッドコーク(縦4回転)1800の成功例がある。

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2021年12月21日のニュース