【玉ノ井親方 視点】決定戦で完勝の貴景勝 気持ち立て直した精神力はさすが

[ 2020年11月22日 22:08 ]

大相撲11月場所千秋楽   ○照ノ富士 浴びせ倒し 貴景勝●、○貴景勝 押し出し 照ノ富士● ( 2020年11月22日    両国国技館 )

<11月場所千秋楽>優勝決定戦で照ノ富士(右)を下す貴景勝(撮影・久冨木 修)
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 貴景勝の勝因は、本割で敗れた反省を決定戦で生かし切ったことだ。

 照ノ富士との結びの一番は、相手の立ち合いの変化を警戒して思い切って踏み込めなかった。自分の流れで押せなかったため、途中で見合うような形になりワンテンポ、間合いができた。そこで休まず攻め続けていれば、展開も変わっていたはず。あの場面で前に出られなかったことが本割の敗因だった。

 しかし、決定戦ではそれが一変していた。相手の変化など考えず、きちんと当たって前に出る相撲に集中し一気に走った。本割で負けると決定戦まで気持ちを引きずるケースもあるが、大関は負けても、まだもう一番あると逆に開き直っていたようだ。短時間で気持ちを立て直した精神力の強さはさすがだった。

 この2年間は膝、胸のケガなどもあり賜杯に手が届かなかったが、その分、気持ちの面で成長した印象を受ける。メンタルが強くなった。

 大関で優勝したことで、来場所はいよいよ綱獲りとなる。ただ、次は今場所休場した2横綱に2大関も戻ってくる。そう簡単にはいかないだろう。課題は立ち合いの当たりを磨くこと。いなすよりも、前に出る圧力にさらに磨きをかけることだ。それ以外は必要ない。(元大関・栃東)

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