大迫、大学生強化チーム設立で“第二の大迫”育成 甘くない合同練習で王道の走り伝授

[ 2020年7月17日 05:30 ]

オンラインで取材に応じた東京五輪男子マラソン代表の大迫傑(株式会社アミューズ)
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 東京五輪男子マラソン代表の大迫傑(29=ナイキ)が16日、オンラインで取材に応じ、延期された五輪への意気込みを新たにするとともに、自ら立ち上げた大学生の中長距離選手を集めたチーム「Sugar Elite」の構想を語った。大学の垣根を越えた強化チームができれば世界に直結すると持論を展開。世界を舞台に戦うプロランナーとしての矜持(きょうじ)も伝授するといい“大迫魂”を継ぐ選手育成も見据えている。

 大迫が理想のチーム像を雄弁に語り始めた。15日に突如発表した大学生強化チームについて、日本マラソン界の第一人者は「強さを求めるには所属に関係なく集まるべきだ。世界を目指す近道になるトップ選手がどういう姿勢で取り組んでいるかを大学生に知ってほしい。(プロとしての)姿勢を伝えていきたい」と熱く語った。

 コロナ禍がチーム設立のきっかけになった。東京五輪延期に端を発し、世界のマラソン大会や競技会が相次いで中止された。空いた時間で大迫が考え、選択したのは温めていた後輩の育成だった。大学や実業団での強化を否定するつもりは全くないという。ただ、自身の早大時代を「3、4年目は練習相手に困った」と振り返り、垣根を越えた切磋琢磨(せっさたくま)の必要性を強調した。

 チーム名にもその思いが込められている。「Suguru」が発音しづらく、米国で付いたニックネーム「シュガー」に加えて、異国の地で何度も壁にぶち当たった苦い経験から悔しい感情を表現する英語のスラング「Sugar」にも由来。「若い選手に対して、悔しいというエネルギーを強さに変えて戦っていこうという思いがある。shit(くそっ)ほど言葉は汚くはないです」と笑う。

 ただ、中身は名前ほど甘くはない。8月17~24日に学生を募り、合同キャンプを計画。「大迫がこれだけ練習しているんだという基準にしてほしい」と猛練習を予告。「日本で世界と戦う集団は今までなかった。チーム日本として、世界と戦う集団をつくれるのではないか。僕ができるんじゃないかと思います」と期待を込めた。

 【米国拠点に練習も「郊外なので怖さない」】大迫は残り1年あまりの東京五輪について「(延期は)良かったとはいえないが、プラスになったことも多かった。時間が取れたのでしっかり準備できる」と3月の東京マラソンからの“連戦”を回避するなど、前向きに捉えた。新型コロナウイルスの影響が甚大な米国に拠点を置くが「郊外なので怖さを感じていない」と冷静。次戦は未定だが「コロナで練習がおろそかになったことはない」と力強かった。

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2020年7月17日のニュース