女子100メートル18歳日本女王・御家瀬緑 TOKYOへ東京から新スタート!

[ 2020年5月7日 05:30 ]

Challenge 春――新たな挑戦

19年日本選手権女子100メートルを制した御家瀬(中央)
Photo By 共同

 陸上女子スプリント界に彗星(すいせい)のごとく現れた18歳が、新たな舞台に胸を躍らせている。昨年の日本選手権女子100メートルで高校生として29年ぶりに優勝し、今年4月に住友電工に入社した御家瀬(みかせ)緑(18)がスポニチの書面インタビューに応じた。故郷・北海道から東京に拠点を移したシーズン。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、めげない新世代スプリンターが新生活と五輪への思いを語った。

 女子スプリント界のホープが、18年過ごした北海道から東京へ拠点を移した。御家瀬の2020年は、東京五輪出場など輝かしいシーズンになるはずだった。新型コロナウイルスが社会人生活の第一歩に暗い影を落としたが、北の大地で鍛えた心身で乗り越えようとしている。

 「変化の多い年になると思うので、対応力を身に付けたい。今は社会人としての基礎をつくる一年。次のシーズンへの準備期間だと考えています」

 北海道外で生活するのは初めて。地元を離れる寂しさもあったが、一人暮らしをすることで社会人としての自覚も芽生え始めた。

 「東京の電車の路線が複雑すぎてなかなか覚えられません。家事もやることが多く、今の生活に慣れることで精いっぱい。でも、全てが自己管理になったので、社会人になったんだなと思いました」

 3月上旬に北海道を離れ、新生活をスタートさせた。東京では味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)を中心に練習を重ねようとしたところ、4月8日に利用中止が発表された。今月4日に緊急事態宣言が延長されたことで、練習の見通しは立っていないが、若き才能はすでに現実的な目標に切り替えている。

 「現在は競技場での練習は控えています。今季は自己ベストの11秒3台を出せればいいと思っています。できることをやりながら事態の収束を願っています」

 高校卒業後の進路に住友電工を選んだ理由の一つに、17年の愛媛国体で北海道チームとしてともに出場した男子100メートルの小池祐貴(24)の存在があったという。

 「将来のことを考え、大学進学も悩みましたが、最も競技に集中できる環境だと思ったので住友電工を選びました。小池選手や多田修平選手ら世界で活躍されている選手もいる。レベルの高い環境に身を置くことが最善の選択だと考えました。9秒台を出している男子選手には、いつかは自分も、という気持ちになります」

 新たな指導者との出会いもあった。住友電工では小池を日本人3人目の9秒台ランナーに押し上げた走り幅跳び元日本記録保持者の臼井純一コーチ(62)に師事し、フォームを重視する指導を受けている。4月下旬の織田記念で実戦テストする予定は中止になったが、新たな環境に刺激を受けている。

 「1日2時間程度の練習をしています。脚が流れないように走りのフォームを意識し、動画を撮って確認することが以前より増えました。コーチの“ゆっくり走って”という言葉が印象に残っています。練習拠点が同じ小池選手には走りについて助言やストレッチ方法などを教えてもらっています」

 初めて日の丸のユニホームに袖を通したときのことは、鮮明に覚えている。高校2年時の18年、ジャカルタ・アジア大会の女子400メートルリレー代表に選出。1走を任され、5位入賞した経験が、世界を意識するきっかけにもなった。来年7月23日開幕の東京五輪では再び“サンライズ・レッド”のユニホームを着て国立競技場で疾走することを目指している。

 「アジア大会は世界と戦うにはまだ力が足りないと痛感し、自分の未熟さが分かった大会でした。(1年延期は)強くなる時間をもらえたと考えたい。ケガには気を付けながら、五輪出場資格を獲れるように着実に練習を積んでいきたいです」

 《19年日本選手権「上目指すきっかけ」》御家瀬は最高のレースとして、高校生29年ぶりの全日本女王になった19年日本選手権を挙げた。「勝てると思っていなかった。あの大会でメンタルの自信はついたが、記録は満足いかない。また上を目指すきっかけにもなった」と振り返る。尊敬する福島ですらなしえなかった偉業だが「福島選手を超えたとは思っていない。自分で自分を日本一だと認められるように努力したい」としている。

 《福島、寺田、右代…北の大地は陸上“王国」”》北海道は陸上の五輪実施種目の日本記録保持者が男女合わせて7人と、全国トップの“王国”だ。御家瀬が尊敬してやまない女子100、200メートルの福島千里(31=セイコー)をはじめ、同100メートル障害では寺田明日香(30=パソナグループ)と道産子スプリンターが東京五輪出場に向けて準備を進めている。また、フィールド勢にも日本記録を持つ実力者は多数おり、十種競技の19年アジア選手権王者・右代啓祐(33=国士舘ク)や男子円盤投げの堤雄司(30=ALSOK群馬)、女子やり投げの北口榛花(22=JAL)らの活躍も期待されている。

 ◆御家瀬 緑(みかせ・みどり)
 ☆生まれとサイズ 2001年(平13)6月2日生まれ、札幌市出身の18歳。1メートル61。
 ☆珍しい名字 御家瀬姓は北海道に多く、全国で約70人とされる。1900年代初頭に鳥取県から北海道に移住したという説もある。
 ☆主な実績 19年インターハイ女子100メートル優勝。同年日本選手権女子100メートル優勝。
 ☆自己ベスト 100メートルは高校歴代2位の11秒46。
 ☆競技歴 小2で地元クラブ入り。中学時代は陸上部がなかったため、日本記録保持者の福島千里らが所属する北海道ハイテクACなどで練習を重ねた。恵庭北高時代は短距離と走り幅跳びでインターハイに出場。
 ☆二刀流 走り幅跳びでも実績十分で、17年愛媛国体の走り幅跳び少年女子Bで6メートル00をマークして優勝。小学校時代にも全国制覇経験がある。19年全国高校総体は5メートル91で7位入賞。自己ベストは6メートル03。
 ☆憧れ 同じ北海道出身の福島は、小学生のころから憧れの存在。「トップに立ち続ける凄さを感じる」と目標に掲げる。

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