稀勢2敗 左から立ち合い踏み込むも…「しっかりやるだけ」

[ 2017年7月12日 05:30 ]

大相撲名古屋場所3日目 ( 2017年7月11日    愛知県体育館 )

乱れ飛んだ座布団が2敗目を喫した稀勢の里の頭を直撃
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 横綱・稀勢の里が早くも2敗目を喫した。平幕・栃ノ心に左下手と右前まわしを許して頭をつけられ、反撃できずに寄り切られた。通算3個目の金星配給で、黒星が先行。不安を抱える左からの攻めが見られず、苦境に追い込まれた。栃ノ心は2個目の金星奪取。横綱初挑戦で鶴竜を破った北勝富士は15日制定着後では史上2位タイのスピード金星(幕下付け出しデビューを除く)。全勝は横綱・白鵬、小結・嘉風ら5人となった。

 和製横綱が防戦一方で敗れると、館内に座布団が乱れ飛んだ。それは稀勢の里の体にも当たった。初日に続いて黒星を喫し、支度部屋に戻ってもなかなか言葉が出なかった。報道陣の問いかけに、しばらくは「うーん」とうなるだけ。最後に「しっかり。明日しっかりやるだけ」と胸の内を絞り出した。

 封印を解いても結果は出なかった。立ち合いでは右から踏み込むことが多いが、栃ノ心戦は左から踏み込んだ。左上腕などに大きな不安を抱えていた夏場所は全て右からで、左から出たのは左上腕などを痛めた春場所13日目の日馬富士戦以来だ。入念に立ち合いを確認した朝稽古後は「いろんなことがあるから。体の状態を試して」と説明していた。

 だが、左から踏み込んでも相手に右前まわしを許して左は差せなかった。左が万全ならおっつけて右の前まわしを殺すこともできたはずだが、おっつけは出なかった。頭をつけられて上体が起き、なすすべなく金星配給。栃ノ心には大関だった昨年秋、九州場所に続いて3連敗となった。

 負傷を抱えて万全でない中で出場に踏み切ったが、苦しいスタートを強いられた。八角理事長(元横綱・北勝海)は「十分に押し込んでいないのに左で差しにいっている」と稀勢の里が慌てていたことを指摘した。「苦しい場所になるが“明日は勝つ”と思って続けていくしかない」と奮起を願った。

 夏場所は4日目に2敗目を喫した。そこから4連勝と踏ん張ったものの、9、10日目に連敗して途中休場を決断した。4日目の相手は、2日目に日馬富士から初金星を挙げた正代。ここで踏ん張れないようだと、夏場所の二の舞いになりかねない。

 ▼二所ノ関審判長(元大関・若嶋津)稀勢の里はまわしを切ろうとしても切れない。万全じゃない。

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